ザリガニは食用として輸入がされた!
日本で生息している3種類のザリガニのうち、1種類はもともと食用の目的として日本に輸入がされました。ザリガニは川や池、田んぼなどの自然の中でよく見かけられた存在で、日本では食べることは一般的ではありません。
1930年にアメリカから輸入がされた
ザリガニが食用の目的として日本に初めて輸入されたのは1930年です。日本では最初にアメリカから北海道へ輸入がされ、のちに全国各地へと広まっていきました。しかし養殖がうまくいかず、日本ではザリガニが食材として定着することはありませんでした。
食用として輸入されたのはウチダザリガニ
食用の目的として輸入がされたザリガニはウチダザリガニです。2021年の日本で生息しているザリガニの中では最も体長が大きく、白い斑点柄のあるハサミを持っているなどの特徴があります。ウチダザリガニは冷水を好む傾向があったため、日本では最初に北海道へ輸入がされたと考えられます。
アメリカザリガニは食用以外の目的で輸入がされた
アメリカザリガニは食用の目的ではなくウシガエルの餌として輸入がされ、全国の川や池、田んぼへと拡大してきました。アメリカザリガニが食用ではなく、餌として輸入されたのはウチダザリガニに比べ、サイズが小さいことが理由として考えられます。
日本の食卓に根付かなかったのは手間がかかるから
日本の食卓に食用ザリガニが根付かなかったのは、食べられる部位が少なく手間がかかる点が大きな理由です。ザリガニは海老と比べて、殻が硬くて可食部が少ないため、古くから食べられている海老のほうが好まれたことも考えられます。
ザリガニはおいしい?
ザリガニは見た目のとおり海老や蟹のような味が楽しめる食材でおいしいです。海外ではザリガニを食材として扱う国もあり、多くの人がザリガニを好んで食べています。しかし日本にはザリガニを食べる文化がないため、ザリガニの味を知っている人は少数です。
海老や蟹に似た風味が楽しめておいしい
ザリガニの分類は「エビ目(十脚目)」で、海老や蟹と同じグループになるため、海老や蟹に似た風味が楽しめます。ザリガニは海老や蟹と同じように身やミソをおいしく味わえます。殻からは出汁がとれるので、殻は捨てずにとっておくのがおすすめです。
ザリガニを食用として楽しむ国も多く存在する
アメリカや中国、フランスなどさまざまな国でザリガニが身近に販売され、食べられています。原産地のアメリカでは名物として提供する地域があり、メジャーな食材です。中国では2015年にザリガニブームが到来し、ザリガニの専門店が増加しました。
食用ザリガニの代表的な料理法3選
ザリガニの食べ方は主に「茹でる」「蒸す」「焼く」といった熱を加えた料理法で食べられます。ザリガニには捨てる部分がなく、身だけを使った料理からミソや出汁を楽しむことのできる料理などがあり、料理法はさまざまです。
味噌汁
- 鍋に水を入れて沸騰させたらザリガニを入れる
- 灰汁を取りながら15分茹で、ザリガニの出汁をとる
- 火を止め、味噌を溶かす
ザリガニの味噌汁はザリガニからでた出汁をダイレクトに味わうことができ、味噌の風味と織り成す味が格別です。ザリガニからは味噌やザリガニの風味を台無しにする雑味の原因となる灰汁が大量に出るので、取ることを忘れないでください。
アヒージョ
- 鍋に水を入れて沸騰させたらザリガニを入れ、15分茹でる
- ニンニクをみじん切りにする
- 茹で上がったザリガニの頭と殻を外す
- 鍋にオリーブオイル・ザリガニ・ニンニク・きのこ・ブロッコリーを入れ、グツグツするまで加熱をする
アヒージョにするとザリガニの風味がオリーブオイルやきのこ・ブロッコリーに移り、よりザリガニの風味を味わえます。残ってしまうオリーブオイルはバケットにつけて楽しむ食べ方やひと手間を加えてパスタソースにアレンジする食べ方が定番です。
中華風蒸し焼き
- ニンニクと生姜をみじん切りにする
- フライパンにごま油・ニンニク・生姜を入れる
- 香りが立ってきたらザリガニを入れる
- 酒・八角・花山椒・唐辛子・塩を入れ、蓋をして15分蒸し焼きにする
中国風蒸し焼きは中国ではザリガニの食べ方として定番な料理です。殻付きで蒸し焼きにすることでザリガニの風味もよく感じられ、香辛料もよく効いており、やみつきになること間違いなしです。
食用ザリガニの入手方法
ザリガニは大きく分けて、購入するか捕獲するかどちらかで入手できます。ザリガニは日本全国のさまざまな水域に生息しているため捕獲がしやすいです。日本でも食用ザリガニが注目され初め、流通量はまだ多くはないですが、通販や店頭での購入も可能です。
通販や店頭で販売されているものを購入する
ザリガニ 食用 約1kg ボイルザリガニ 28~30尾
参考価格: 3,990円
食用ザリガニはAmazonや楽天市場などの通販サイトや海外食材の取扱がある店舗で購入ができます。店舗での販売は期間限定や数量限定などの条件付きが多いため、店舗で購入時には事前に条件がないか確認をするようにしましょう。食用ザリガニを定期的に食べたい方は条件のない通販での購入がおすすめです。
川や池などで生息しているものを捕獲する
ザリガニは高水温や水質汚染などに耐性があり、どんな環境でも定着できるため、川や池などのさまざまな水域で生息しています。
ザリガニの捕獲は手づかみでも可能ですが、スルメを餌にした釣りや、網などの道具を使った方法がより確実です。どうしても手づかみで捕獲をしたい場合は、動きが遅くなる夜を待ってからの捕獲をおすすめします。
ザリガニを食べるには注意が必要
川や池、田んぼで捕獲したザリガニを調理するに当たり、注意しておかなければならないポイントが4つあります。4つのポイントをおさえておけば、不都合な事態を防げますし、おいしく食べられます。
特定外来生物に指定されている
ウチダザリガニは特定外来生物に指定されていますが、アメリカザリガニは指定がされていません。
生きている特定外来生物の取引や運搬は原則禁止ですが、飼養等の許可を得ていれば生きているザリガニの取引や運搬ができます。許可を得ていない場合でウチダザリガニを捕獲する際は必ず現地で締めてから持ち帰るようにしてください。購入をする際は生きていないものを選ぶようにしましょう。
ザリガニは寄生虫がたくさん
ザリガニの体内には「肺吸虫」と呼ばれる寄生虫がたくさん存在します。
肺吸虫は咳や血痰など肺に関わる症状を引き起こす原因となるため、必ずザリガニを加熱し、肺吸虫を死滅させるようにしましょう。肺吸虫は生きたまま食べると口から肺に入ったあと、稀に脳や筋肉に入り頭痛や痙攣などの合併症を引き起こすおそれもあります。
泥抜きが必要
自身で捕獲したザリガニは泥抜きが必要ですが、通販や店頭で販売されているザリガニは基本的に泥抜きがされているため不要です。
泥抜きはザリガニを水道水で生かすことで簡単にできますが、最初のうちは水がすぐに濁るので、1日1回入れ替えてください。期間は1〜3日程度を目処に行うといいですが、ザリガニは空腹になると共食いを始めるので、様子を見て行う必要があります。
臭み抜きが必要
雑食のザリガニはいろいろなものを食べているため、臭み抜きをしないと川や池、田んぼなどの独特な匂いが気になってしまいます。臭み抜きは酒に10分〜20分程度、浸し放置することで簡単にできます。酒は浸すことで臭み抜きにもなりますが、ザリガニが生きていれば締めの作業も同時に行えるおすすめの方法です。
食用ザリガニを試してみては?
ザリガニはアメリカやフランス、中国などの国では一般的に食べられる食材の1つです。日本でも少しずつですが注目がされ、食材として販売されており、ザリガニ料理が提供されているお店もあります。
ザリガニは日本の生態系に悪い影響をもたらす生物です。日本に生息しているザリガニを捕獲して食べることで駆除にもなり、日本の生態系も守れます。
出典:photoAC