ハゼってどんな魚?
ハゼは、国内であれば沖縄県を除くほぼ日本全国の汽水域・淡水域に生息しています。身体的な特徴は、円筒形で灰褐色または茶色の身体と背全体に広がる黒色の斑点ですが、生息場所の環境により多少色彩の変化が表れます。
薄く柔らかいウロコ、鋭利さのないヒレにより、比較的簡単にさばくことが可能です。身はクセのない透明感のある白身で、基本的に合わない料理はありません。
ハゼの下処理は?
ハゼを唐揚げ・天ぷら・刺身と美味しく食べるために、やっておかなくてはならない下処理は、ヌメリを取る・尻尾を切り落とす・内蔵を取ることです。海底に生息するハゼは臭みが強いため、上手く料理できたとしても美味しく食べられません。文字通り「そのまま」食べられる魚は存在しますが、基本的には下処理が必要です。
ヌメリを洗い臭みを取る
ハゼは体表のヌメリに泥を含んでいることが多く、それが臭みの元になっているため、ヌメリを取る作業が必要です。ボウルなどにハゼを移して塩をまんべんなくまぶし、指先で軽く揉むように洗います。そのあとは、水洗いを繰り返しましょう。
水が濁るようなら2回3回と続けてください。ヌメリや臭みを感じなくなったら完了です。この下処理で、うろこがある程度、自然に剥がれます。
尻尾を切り落とす
ハゼの尾は、きちんと洗ったつもりでも泥が残ることがあります。薄膜状の尾びれに軟骨が支えとしてあるため、その軟骨の隙間に泥をかみやすく、なかなか取り除けないのです。丁寧に洗いたいところなのですが、ハゼは数釣りをすることが多いため、持ち帰る総量を考慮すると時間が掛かるでしょう。切り落とす方が簡単です。
内蔵を取る
ハゼの内臓取りは、まず、胸びれも含めて頭を落とすようにしてください。すると、包丁にハゼの内臓も巻き込まれていますので、そのまま引き抜きましょう。これで内臓取りはおしまいです。
唐揚げや甘露煮などで頭ごと食べる場合や姿を残したい場合は、ハゼの腹側の胸びれから肛門まで包丁を入れて、指で内臓をかきだしてください。
小さいハゼの下処理は?
小さいハゼは骨が柔らかいため、中骨を取り除かないまま唐揚げ・素揚げ・南蛮漬けといった「揚げ」にするのが基本です。ヌメリを洗い臭みを取り、尻尾を切り落とした上で頭はそのまま残し、内臓だけを取り除けば下処理は完了します。
ハゼのさばき方の種類
ハゼは、いろいろなさばき方があります。すべて「目的の料理を美味しく食べるため」で、無駄なものはありません。ハゼのさばき方を5種類をご紹介しますので、すべてマスターして、どの料理でも美味しく食べられるようにしましょう。
ハゼのさばき方①:背開き
背開きは、天ぷらや唐揚げで必要なさばき方です。ハゼの背中に包丁を入れて、中骨に沿うようにして少しずつ開きます。行き過ぎると包丁が腹を突き抜けてしまうので、慎重に腹の手前で止めつつ尾に向かって引いてください。
片身が開き終わったら、そのまま中骨の下に包丁を入れて、身と中骨をはがすように開き、中骨を切り離して内腹を削げば完成です。
ハゼのさばき方②:腹開き
背開きとは逆で、腹から包丁を入れる開き方です。こちらも、天ぷらや唐揚げに必要なさばき方で、包丁を入れる場所が背か腹かの違いがあるだけです。中骨に沿って引いていくのは変わりません。
包丁が背を突き抜けないように注意しつつ、腹側から尾に向かって慎重に開きましょう。次に中骨の下に包丁を入れ、慎重にはがして内腹を削げば完成です。
ハゼのさばき方➂:松葉おろし
まず、背でも腹でもいいので、中骨に沿って尾の寸前まで包丁を入れましょう。開きのように、背や腹で寸止めをせず尾まで突き抜け、身を完全に離してください。
次は中骨の下に包丁を入れて、中骨をはがし切り落とします。すると、双方の身が尾で繋がった状態になるでしょう。これで松葉おろしの完成です。このさばき方が必要な料理は天ぷらです。
ハゼのさばき方④:3枚おろし
開きと同じように、背または腹から包丁を入れます。しかし、ハゼは円筒形の魚であるためバランスが悪く、ちょっとした力加減で前後に揺れるので、アジやサバと比べて難しくなります。常に中骨へ包丁を当てることを意識しつつ、慎重に身を切り離しましょう。
裏返して同じ要領でさばけば、3枚おろしの完成です。このさばき方が必要な料理は刺身です。
ハゼのさばき方⑤:大名おろし
3枚おろしは手間が掛かかります。刺身にしたいけど3枚おろしは面倒だという場合は、大名おろしがおすすめです。下処理をした状態で、頭を落とし、その切り口から中骨に刃を当てて、そのまま尾まで一気に引くさばき方です。中骨に少し身が残りますが、ひとつひとつ丁寧にする時間がないときに重宝するさばき方でしょう。
料理別ハゼの基本の下処理のあとにすること
①ハゼの唐揚げ
唐揚げはハゼの料理方法として比較的簡単です。小さいハゼなら、それほど気を使う必要はありませんが、サイズが大きいと中骨を取り除く・二度揚げするなどの一手間が必要です。
唐揚げ用の下処理
ハゼを唐揚げにしたい場合は、基本的な下処理が終わった状態で唐揚げ粉をまぶし、揚げるだけの簡単な手順です。骨が気になる方は二度揚げが必要ですので、一度ハゼを揚げて油を切った後に再度揚げましょう。
サイズが15センチ以上の大型になると、二度揚げをしても骨が舌に触ります。開きのやり方を参考にして、先に中骨を取り除いてから揚げてください。
②ハゼの天ぷら
天ぷらは唐揚げと比べて、調理方法がデリケートです。それなりの下処理を加えなければなりません。中骨は必ず取り除く必要がありますし、小さいハゼの場合でもうろこや臭みの問題があるため天ぷら用の下処理が必要です。
天ぷら用の下処理
共通の下処理を終えた時点では、まだ少しうろこが残っています。それを包丁の背で軽くこそいでしまいましょう。唐揚げなら、うろこごと揚がりますので美味しくいただけますが、天ぷらの場合はうろこが揚がりきらず舌に触ります。
小さいハゼの場合でも変わりませんので、小さいからと軽く考えず、きちんと下処理をしましょう。
③ハゼのお刺身
刺身には15センチ以上のハゼがいいでしょう。15センチ以下の小さいハゼでも刺身にできますが、非常に細かい作業となり、難しいのでおすすめしません。刺身はどれだけ骨と臭みを残さないかという、天ぷらよりもさらにデリケートな下処理が必要です。
刺身用の下処理
ハゼを刺身にするための下処理は共通の下処理と、さばき方の3枚おろしをそのままやっていただければ問題ありません。もし、湯霜造りなどで皮付きのままいただくなら、舌に触るのでうろこをきちんと取り除いておきましょう。
内腹をひくのを忘れずに
刺身なので舌に骨が当たらないようにするのはもちろんですが、内腹を多めに削いでおきましょう。内腹の削ぎが甘いと臭みを残すことになります。皮を残す残さないはお好みですので、不要な場合は引きましょう。
ただし、ハゼの皮は薄く、慣れていないと普通に引いても上手くいきません。皮の内側に包丁の背を当てて、そのまま身をこそぐと簡単です。
④ハゼの骨せんべい
魚料理で決まって余る骨ですが、ハゼの骨は揚げることで骨せんべいになります。ハゼ料理の一品やお酒のあてとして美味しく食べられますので、お試しください。
さばき方を学べば身近なハゼがもっと身近に
ハゼのさばき方は、まずヌメリ取りと内臓取りの下処理を共通点とします。次に、料理に合わせてうろこを取る・骨を除去するなど、下処理の追加をすれば、あとは調理をするだけです。
ハゼはその釣りやすさからして、とても身近な魚です。さばき方は最初こそ難しく感じますが、一度それを超えれば経験を積むだけですので、頑張ってハゼをもっと身近にしましょう。
出典:photo-ac