日本人になじみ深いアナゴ
アナゴは江戸前寿司が確立された以降から扱われており、日本人とは100年以上の付き合いがあります。日本人にとてもなじみ深い魚です。白身でありつつも濃厚な味わいは、寿司ダネとしてももちろん、蒲焼き、天ぷら、煮あなごなどでおいしく食べられます。
さばき方はアナゴのさばき方としては一般的な目打ちする方法と、ハサミでさばく方法があります。
アナゴの下処理方法
アナゴの下処理は非常に重要で、しっかりと下処理をすることでさばくのも簡単になります。
アナゴのさばき方は少し一般的な魚のさばき方とは異なります。特に体表のぬめりや、血液に毒があるという特殊性は他の魚にはない特徴です。
ぬめりの取り方は3種類
細長い魚に付き物の強いぬめりは、調理を難しくさせる初心者泣かせなポイントです。ですが、対処法はすでに確立されているので、ここではその代表的なものをご紹介します。
お湯をかける
アナゴに熱湯を掛けると、ぬめりが白く固まります。後はそれをキッチンペーパーなどで拭き取れば、それだけで細長い魚特有のしつこいぬめりが取れてしまいます。
アナゴのぬめりは、ムコプロテインというタンパク質の一種が主な成分となります。このムコプロテインは、お湯により凝固する作用がありますのでそれを利用してぬめりを固めて取ります。
ネットを使う
アナゴを素手で握ろうとすると、ぬめりのせいでつるつると滑ってしまいます。手の滑りを防止するためにみかんの入っていたネット、またはそれに類似したものを使うことでしっかりと握ることができます。
塩をアナゴの身体全体に振った後、強めに手で揉んだ後に洗い流すとぬめりが取れます。その後まな板に置いてから、包丁で体の表面に残ったぬめりをこそぐと完璧です。
包丁を使う
アナゴをまな板に乗せてから、ぬめりが取り除かれるまで包丁でこそぐ方法もあります。ある程度こそいだ後、水洗いをしてぬめりを感じなくなれば完了です。
熱湯を書ける方法やネットを使用する方法より時間は掛かりますが、アナゴの身への影響が最も小さく調理への影響も少なく済みます。包丁でひたすらこそぐだけなので、時間はかかりますが手順としてはとてもシンプルです。
注意点
アナゴの血には毒がある!
実はアナゴの血には、イクチオヘモトキシンと言われる神経毒があります。この血が調理の際に傷口に入ったり、口にはいったりすることで傷口が痛んだり腹痛などが起こる可能性があります。
アナゴの血に含まれるこの毒は、火を通すことで完全に無害化します。問題になるのは火を通す前のさばく過程ですが、傷口や口に入らなければ問題ありませんので、傷口はさばく前に絆創膏などで保護しておきましょう。
アナゴのさばき方①:目打ち
アナゴの開き方ですがまずは細長い魚のさばき方としてメジャーな目打ちからご紹介します。説明文だけでは難しそうに見えるかもしれませんが、やってみると簡単です。
①まずは目打ちをする
まずは、下処理が終わったアナゴを目打ちをします。目打ちをするとまな板に穴が空いてしまいますので、同じ分厚さの安いまな板や木片(熱湯消毒済)などをまな板の横に置きましょう。
その後、熱湯消毒したキリや釘をアナゴの両目に通して、まな板または木片に打ちつけましょう。右利きなら頭を右に置いて、アナゴの背が手前になるようにして下さい。
②アナゴの背から包丁を入れる
次にアナゴのヒレを右側にして包丁を置き、背骨に当たるまで切り込みを入れます。その後は尾に向かって、包丁の先端を背骨の上に置くイメージでいちばん最後まで引いていきます。
少し包丁の歯を平行にするのではなく少し歯を下げておくのが、この開き方で最も重要なところです。そうすることで背骨に残る身が少なくなり、もともと身の少ないアナゴの無駄がなくなります。
さばき方のコツは「背骨の感触」
アナゴの身を引く際、少し包丁の歯を進行方向に向けて下げますが、包丁を進めている最中も常に背骨を感じられるようにするのが開き方のコツです。
③背骨を取り除く
次に背骨ですが、まず頭側の背骨を切って身からはがしつつ軽く持ち上げます。そのまま背骨の下に包丁を入れ、切り込みを入れつつ尾まではがしていきましょう。
ここで背骨を引っ張る力が強過ぎると、無理矢理はがすことになり身がボロボロになります。ですので添える程度の力にしましょう。
④頭、内臓、背びれ、腹骨を取る
今の時点で、アナゴは開かれて内臓が見えています。内臓は指で取り除き、内腹に汚れが多いなら背骨側から軽く包丁ですいてしまいましょう。
背びれはその構造的に、ぬめりや汚れ、臭みが残っていることが多いです。尾側から切り込みを入れて、引っ張りながら取り除き、最後に頭を切り落として下さい。
⑤身に付いた血を洗えば調理可能
最後は、アナゴの身に残った血を洗い流しておきましょう。火を通せば問題ありませんが、その後の調理でうっかり付着した血が飛んで、目や他の傷口に入る可能性も否定できません。
アナゴのさばき方②:ハサミ
目打ちの一連の流れを見たものの、やはり目打ちは難しいという印象がある方は、ハサミによる開き方がおすすめです。ハサミだけで通してさばくことが可能で、開き方そのものも簡単です。
①頭を落とし腹を開く
まずは頭を落としますが、まずは最も皮膚が薄い箇所である腹部にハサミの片側を刺しましょう。そのままアナゴの体に対して垂直に切り込みを入れれば、それがストッパーになり滑らずハサミで頭を切ることができます。
そしてそのまま内臓を取り、背中側を自分側に向けてアナゴを置いて下さい。難しい場合はここだけは包丁を使ってもよいでしょう。
②背骨の左右どちらかに沿ってハサミを入れる
次に頭側から、背骨の左右どちらかからハサミを入れていきます。そのまま紙を切るようにハサミを進めて、背骨と身を少しずつ切り離していきましょう。
毎回ハサミを完全に閉じないように切り進めるのが、この開き方のコツです。紙と同じように、ジョキジョキと続けざまに切り取ることで、身の切断面が綺麗になります。
背骨側へ斜めに這わせるのがさばき方のコツ
実はアナゴの背骨というのは、他の魚と違って三角の形状をしています。ですので、できるだけ背骨に這わせてハサミを入れると、無駄な身が少なくなり可食部が増えます。
③反対側も同じようにハサミを入れる
次に、反対側も同じようにハサミを入れるようにして下さい。片側がすでに切り離されていることから、背骨を引っ張り上げることができますので、反対側をさばいたときよりも楽になるでしょう。
背骨を少し引っ張り上げることで、ハサミを進める際に背骨と身の結着部が見えやすくなるので、それだけ無駄なく切り離すことができます。
④骨切りをする
アナゴはハモとは違い、骨が少ないので本来であれば骨切りは必要ありません。ですが大型のアナゴの場合は、食べた際に骨が舌に当たることが多いので、サイズにより骨切りの是非を考えなければなりません。
それでもし骨切りが必要な場合は、包丁を使って頭側から3ミリ以内の間隔で皮一枚まで切り込みを入れていきましょう。これをすることで、その後の調理の幅が広がります。
可能なら背びれ、腹骨を包丁で取り除く
背びれや腹骨も、ハサミで取り除くことが出来ますがすこし面倒です。背びれは一般的な魚より小さく、体に沿ってハサミを入れるのは手間が掛かってしまいます。
腹骨や残った内臓についても同じで、「すく」という作業が必要なことからこの作業は包丁の方が適しています。ハサミしかないなどで一連の流れを全て行う必要がないなら、ここは包丁を使うほうが時間が省けるでしょう。
さばき方はすぐに身につく!
アナゴはまず、その強いぬめりを取り除くことが重要になります。さばき方は目打ちであれば背中から包丁を入れて開き、その後内臓や背骨など不要な部分を取り除きます。
ハサミであれば頭と内臓を除去してから、背骨に沿わせてハサミを入れていくだけです。一度こなせばすぐに慣れ簡単になりますので、難しいと思って二の足を踏まれていた方もこれを機に学んでみましょう。
出典:photo-ac