しめ鯖で食中毒にならないための対策
しめ鯖で食中毒にならないために行うべき対策は、時間をかけて凍らせる以外にもあります。しめ鯖での食中毒を防ぐための肝は3つで、「鮮度」「ほかの身に広げない」「アニサキスを死滅させる」です。
しめ鯖で食中毒になる原因には細菌のヒスタミンもあり、目に見えず常温・低温下で増えるヒスタミンは、アニサキスとは異なり何をしても死滅させられません。
新鮮な鯖を使う
しめ鯖で食中毒にならないための1つ目の対策は、鮮度の高い鯖を使うことで、ヒスタミン対策にも重要です。
鮮度の見分け方は身の硬さで、腹や体全体に張りがあり、皮にしわがない魚を選んでください。自分で釣る場合は釣り上げてすぐに神経締めと血抜きをして、海水と氷を入れたクーラーボックスで冷やして持ち帰りましょう。
内臓はすぐに取りのぞく
しめ鯖で食中毒にならないための2つ目の対策は、内臓・エラをすぐに取りのぞくことで、ヒスタミン対策にも重要です。鯖はアニサキスの寄生したエサを飲み込むため、アニサキスはたいてい内臓に寄生しており、温度が上がる・鮮度が落ちることで内臓より腐敗の遅い身に移動します。
より安全に作るためには、内臓とあわせて周りの身も大きめに切り落とすのがおすすめです。
目でしっかりと確認する
寄生虫の見た目
- 2~3センチの糸状
- 半透明の白色またはだいだい色
- 内臓表面にいる場合は丸まっていることが多い
しめ鯖で食中毒にならないための3つ目の対策は、内臓や身に1つずつ目をとおしてアニサキスがいないかを確認することです。
寄生虫のアニサキスは目に見える大きさですので、切り取った内臓を丁寧に確認してください。内臓にいると身にいる可能性も高く、身に移ったアニサキスは中にもぐりこんでいて見つけにくいので、アレルギーをお持ちの人は食べるときにも注視しましょう。
調理器具を使い分ける
しめ鯖で食中毒にならないための4つ目の対策は、身をさばく前と後で調理器具を使い分けることです。目的はアニサキス・ヒスタミン・雑菌を広げないためで、内臓は手早く捨て、身を洗う前後で入れ物を分け、包丁やまな板も洗って消毒しましょう。
触った手はしっかりと洗う
しめ鯖で食中毒にならないための5つ目の対策は、鯖を触った手で目・口・違うものを触れないように心がけ、手を念入りに洗うことです。鯖の寄生虫・細菌が危ないのは体内に入った場合であり、触るだけなら害はありません。左右の手で鯖と調理器具を区別して触ると、調理器具を洗い消毒する手間をいくぶん省けます。
酢で締める前か後で48時間以上凍らせる
しめ鯖で食中毒にならないために必須の対策は、酢で締める前か後にマイナス18度以下で48時間以上凍らせることです。注意すべき点は温度で、家庭用の冷凍庫の多くは最低温度がマイナス18度前後であり、設定温度がマイナス18度を上回っている場合もあるので作る前に確認しましょう。
寄生虫アニサキスを食べてしまうとどうなる?
寄生虫のアニサキスを生きたまま食べてしまうと、ひどい場合はすぐに激しい腹痛や吐き気におそわれます。命を落とした例は報告されていませんし、運がよいと軽い腹痛で済んだり、何もなかったりする場合もありますが、状況別の対処法を知っておくことが大切です。
激しい腹痛やアレルギー反応が起こる
生きたアニサキスを食べると激しい腹痛が起きたり、体質によってはアレルギー反応が起きたりします。
腹痛は吐き気や嘔吐(おうと)を伴うことが多く、9割は食べてから数~10数時間のうちに始まる胃痛であり、まれに腸痛もあり2日後ごろまでに始まる例が多いです。アレルギー症状はアニサキスの生死に関係なく起こり、ヒスタミン食中毒と似ています。
治療法がない場合もある
体内にいるアニサキスを殺す薬はないので、腸痛の場合は痛み止めを飲んで症状が治まるのを待つしか対処法がありません。胃痛の場合は内視鏡検査をして取りのぞき、アレルギー症状が出た場合は抗アレルギー薬や抗ヒスタミン薬が処方されます。
アニサキスが人の体内にとどまれる期間は1~3週間ほどで、腹痛や吐き気がつづくのは長くて1週間前後です。
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