雨の日の釣りは釣れないってホント?どんな影響がある?
待ちに待った休日に釣りの予定を立てていたのにあいにくの雨...そんな時は、予定通り釣りに出かけるかどうか迷うものです。雨が魚にどう影響してくるのか、という疑問に対してはいろいろな意見があります。釣りと雨との関係において本当のところはどうなのかを理解できれば、多少天気が悪かったとしても貴重な休日の釣りを何倍も楽しむことができます。
雨の影響が有利に働く?!
雨が降っている状況は一般的にはマイナス方向に考えられがちですが、実は釣りにおいてはプラスの影響もたくさんあります。以下に挙げるメリットは基本的に海でも川や池などの淡水でも共通する部分です。
魚の警戒心が解かれる
魚の警戒心を和らげてくれるというのが雨によってもたらされる大きなメリットの一つです。水面に雨粒がパラパラと落ちてくれることによって全体的に音と波紋のカモフラージュができて、仕掛けやルアーに対する違和感が和らぐというわけです。海ではベタ凪の時よりも多少時化ていて、海面がざわついているときの方が釣れやすいということを時々耳にしますが、それとほぼ同じ状況を作り出してくれるということです。ルアーフィッシングでも雨の降り始めが一つの釣れやすい状況とも言われています。
気圧との関係
水の中にいる魚と気圧がどう関係するのかと思ってしまいますが、ほとんどの魚の体内には浮袋というものが存在していてそれを膨らませたりしぼめたりすることで泳ぐ深さを調整しています。なので、「雨が降る」つまり低気圧が近づいて気圧が下がる現象によって浮袋が膨らみやすい状況となり普段は深めの場所にいる魚が浮いてきやすくなり活性が上がるというわけです。この現象と上述した”水面のざわつきによる警戒心の低下”を合わせて考えると、雨の中の釣りには確かにメリットがあるというのもうなずけます。
海と川の釣れない状況
では雨の影響で釣りにくくなるというのはどんな状況なのでしょうか。まず最初に覚えておきたいのは基本的に魚は急激な変化に弱いということです。人間でも急に大きな環境の変化を経験すると少し緊張したり疲れてしまうことがありますが、海や川の中の世界も同じで一時的に生き物の活性が落ちてしまうことがあります。では雨によって起こり得る急激な変化について見ていきましょう。
急な濁り
あまりに大雨が続くと、河川からの濁った水が大量に海に流れ出してくることで魚の活性が突然下がったり、濁りの影響を受けにくい沖の方に移動してしまったりします。もちろん少々の濁りであれば逆に魚たちの警戒心が薄れて好釣果につながることがあるのも事実です。ですが、ひどく濁りが入ってくるとマイナス面の影響の方が多くなってしまいます。さらには、低気圧が関係して風が強まり波が高くなってくると、底が砂地のポイントは砂が舞って底荒れしやすくなることがあります。そうなるとやはりそのポイントで釣果をあげるのは難しくなるのです。
急激な水温低下
急な水温低下も釣り人には大敵です。水温が上がる方の変化は歓迎ですが、下がっていく方は魚にもマイナス面の影響を与えることが多いです。大雨で冷たい水が流入してくるとその場所付近の水温が突然下がってしまい魚はストレスを感じることになります。そうなるとアグレッシブにルアーを追いかけたりエサを捕食する元気が出なくなってしまう、つまり活性が下がってしまうというわけです。なのでポイント選びの一つのコツは、降水量がどの程度なのか、どれほどの期間降り続いているのかという点を考慮することです。
雨の中の釣りは大変だけどこんなメリットも
実際には魚の側よりも釣り人側の苦労が強いられることの多い雨の中の釣りではありますが、それでも頑張ってみる価値のある雨の日ならではのメリットというものが存在します。ここでは2つのメリットについて見てみましょう。
メジャーポイントでライバルが少ない
真っ先に挙げられる大きなメリットは、ポイントの競合相手となる釣り人が少ないということです。釣り人の中には「雨だから釣れない」と考えていたり「濡れるのが嫌だから…」と考えてしまう人も多く、釣果の上がっている超メジャーポイントであってもどうしても釣り人の数は少なくなる傾向にあります。それによって普段は人が多くて入ることのできなかった場所で釣りができるチャンスが広がるのです。魚の活性は下がっていないのに一級ポイントを攻めることができる…そうなれば必然的に好釣果の期待大ですね。
夜釣りでの雨は歓迎?
雨は夜釣りにも味方してくれることがあります。正確には雨というよりも曇り空というべきですが、特に漁港などの常夜灯周りではそれが顕著に表れてくることがあります。満月の日は常夜灯周辺の反応が良くないという話は聞かれたことがあるでしょうか。これは、月明かりが強すぎて漁港の灯りの効果が半減してしまうからです。でも、曇りの日には雲が月を覆ってくれるため常夜灯の集魚効果が高まるというわけです。特にメバルやアジなどを夜に漁港で狙う時は大きなメリットになります。
雨の中での釣り方のコツと仕掛け
釣りにおいてどんな仕掛けを使うかというのは、その日の釣果に直接つながってくる非常に重要な点です。晴れた日と雨の日で仕掛けをどう変えていくと効果的なのか、釣果を伸ばすためのコツも含めてルアーゲームとエサ釣りの両方の視点から分析してみましょう。
雨の日のルアーとエギング
まずはルアーゲームにおける狙い方のコツと仕掛けについてです。エギングとそのほかのルアーゲームとでは雨の日の狙い方が少し変わってくるため分けて解説していきます。
ルアーゲーム
ルアーゲームといってもターゲットは様々で、青物系、シーバス、メバル・アジなどのライトゲームなどがあります。狙い方はいずれも基本的に同じ考え方で、普段よりも表層を意識して探っていくのがコツです。というのも前述したように雨によって警戒心が薄れている魚はいつもよりも表層を意識するようになっているからです。トップウォータールアーでしばらく粘ってみるとすぐに反応が得られることも少なくありません。そして、徐々に狙う層を下げていきその日の魚の居場所を探るようにしましょう。
エギング
エギングについては、上で述べた他のルアーゲームとは違って深めの層を意識して探っていくのがコツです。なぜならイカは海水の塩分濃度が下がってしまうことを嫌う傾向にあるからです。雨が降ることによって多少なりとも一時的に海の塩分濃度が下がることになります。そして比重の関係により深い層では塩分濃度が下がりにくいのですが、表層に近づくにつれて濃度が徐々に薄まっていくことになります。なので雨の日にエギを選ぶならシャロー系(浅い層)よりもディープエリア(深めの場所)を手返しよく探れるものを選ぶと良いでしょう。
エサ釣りの仕掛けと釣り方のコツ
結論から言いますとエサ釣りの仕掛けについては晴れの日と同じで問題はありません。ルアーと違ってエサは匂いなどでの集魚効果がありますから、狙う層も雨の日だから極端に変えなければいけないということもありません。もちろん仕掛けを動かしながらその日の層を探っていく必要はあります。さらに言うなら多少の濁りが入ってエサの視認性が落ちていることがあるので、撒き餌をいつもより多めに撒くなどの工夫をするのが釣果を伸ばす一つのコツです。
雨の日の釣果に大きく関係する場所選び
雨降りの日に良い釣果を得て楽しく釣りをするために大切なことは場所選びです。ここを間違えてしまうと思うように成果が得られず、本当はチャンスなのに「やっぱり雨の日は釣れない…」と勘違いしてしまうことになります。では実際にどんな場所が雨の日の釣りに向いているのでしょうか。
避けたほうが良い場所
まずやめておいた方が無難な場所についてですが、海でも淡水の釣りでも大量に雨水が流れ込んでくる場所は急激な濁りが入りやすいので活性が著しく悪くなるか魚自体がいなくなってしまいます。これには雨量も関係してくるので一概には言えませんが例えば海では河口付近、淡水では濁りの強い水が流れてきている流れ込み付近は避けておくのがセオリーです。また低気圧のせいで海が多少荒れている状況では砂地のポイントは底荒れして水質が悪くなり魚はそれを嫌います。
おすすめポイント
次におすすめのポイントですが、海の釣りでは潮通しの良いエリアに隣接している漁港や、水深のある磯周辺、さらには防波堤などが狙い目です。淡水の釣りではきれいな水が流れ込んでいる流れ込みや橋脚エリア、さらには濁った流れときれいな水の流れの境目あたりも良いポイントになることがあります。その日の降雨量と風の強さなども考えて安全かつ釣れる場所を探すことが肝心です。
雨か降っても楽しく釣りをするために覚えておきたい海と川の注意点
釣りを楽しむためには第一に安全である必要があります。安全のための要所をしっかり押さえておいて不意の事故に巻き込まれないようにしたいものです。海釣りと川釣りでの気をつけるべきポイントについて見ていきましょう。
海で気をつけるべきポイント
海で常に気を配っておきたい3つのポイントがあります。それは、足場、波、雷です。雨が降っているときは足場が濡れているのでかなり滑りやすい状況になっています。特に磯場やテトラで釣りをするときは注意が必要です。滑りにくい専用のシューズを使用することや、無理をしないことを心がけましょう。また、雨の日は気圧の関係で風も強くなりやすいので波の高さには特に気を配る必要があります。単独釣行はなるべく避けるのが良いでしょう。さらには持っている竿に雷が落ちてしまうという危険も潜んでいますので雷が鳴りだしたら釣りを中断、もしくは中止する勇気も必要です。
川でもこれには気をつけよう
川で怖いのは急な増水です。雨の日は支流からの流れ込みが多くなりますし、上流にダムがある川では、降雨量が多い日は安全のためダムを少し開放して水の量を調整することもあります。ちょっとでも水量が増えてきていることに気付いたり、ダム解放時の警報が鳴ったりしたなら即座に釣り場を離れることが大切です。ウェーディングなどで川に立ちこんで釣りをするのも雨の日はおすすめできません。海でも川でも共通して言えることですがライフジャケットやグローブ、シューズ、レインコートなどの安全装備はしっかりと行いましょう。
まとめ
一般に「釣れない」と思われがちな雨の日の釣りですが、実は晴れた日よりも釣果が上がることの方が多いです。仮に「釣れない釣り」になったとしてもそれは無駄になることはありません。ひとつの大きな経験値として次の釣りにつなげることができるわけです。雨の日に釣りに行く際には「濁り」と「塩分濃度」そして「安全」の要素を考えつつ、快適に釣りを楽しみましょう。