トローリングはどんな釣り?
トローリングは船を走らせながら、さまざまな仕掛けを流して魚を釣る方法で、アメリカ発祥の釣りといわれています。スポーツ競技としてのフィッシングに位置付けされている世界でも人気のものであり、日本にもトローリング団体があるほど有名な釣法です。
船を走らせながらルアーを流して釣る釣法
トローリングの大きな特徴は、船を走らせることで仕掛けとなるルアーを流して、いろいろな魚を狙える釣り方です。そのため、釣りのテクニックも必要ながら船の速度や操舵力、天候や状況を判断して、その時に最適な船の走らせ方を実践する能力なども求められてきます。
スポーツフィッシングとして人気の釣り方
スポーツ釣りとして世界中でも人気となっており、魅力的な釣法に虜になってしまう人たちも少なくありません。大海原で船を豪快に操舵し大物を釣ることは、世界共通のロマンあふれる釣りとなっており世界中で人気を集めています。日本の団体も釣果を世界と競合しています。
トローリングで釣れる魚は?
トローリングで釣れる魚は種類が豊富です。大型の魚ではカジキやマグロなど、釣り人のロマンの象徴でもある魚が狙えるため、夢のある釣りとしても人気があります。また、中型の魚ではシイラやカツオ、サワラやブリ。ライトなものでは、アジなどの小型魚も対象です。
トローリングの呼び方
釣れる魚の多さがトローリングが世界中で人気となっている秘訣のひとつ。カジキやマグロなどの大型の魚を狙うトローリングをビックゲームトローリングと呼び、カツオやサワラ、シイラなどの中型からアジなどを狙うトローリングをライトトローリングと呼びます。
マグロなどの大型魚
マグロやカジキなどの大物を狙うトローリングは通称ビッグゲームと呼ばれており、トローリングの中で最もエキサイティングで人気のゲームとなっています。超ド級の海のモンスターを己の力とテクニックでねじ伏せる、非常にファイティング要素の強い釣り。スポーツとしての人気もうなずけます。
サワラなどの中型魚
大型魚を対象としたビッグゲームに対して、中型の魚であるサワラやシイラ、カツオなどを狙ったトローリングはライトゲームと呼ばれています。こちらも人気の釣りでビッグゲームよりも比較的やりやすい点があるため、敷居が低く始めやすいところが人気です。
その他に釣れる魚
トローリングでは多くの魚が釣れるため、何が釣れるかわからない点も大きな魅力のひとつです。対象となる魚の多くは回遊魚なので時期や状況にもよりますが、ヒラマサやカンパチ、ヒラメなど、その時で釣れる魚も変わってきます。いろいろな魚を狙いたい方には楽しめる釣りでしょう。
トローリングの釣り方とは?
この釣りの奥深いところは、他の釣りと違って船の力を使い、ルアーにアクションを入れていく点です。そのため、船を走らせることでルアーを流してアクションを出していくことはもちろん、潮の状況や風の向きなど、さまざまな状況判断と船の操舵力も問われます。
トローリングでのルアーアクション
陸っぱりからの釣りではロッドやリールを扱うことでルアーにアクションを加えていくことが常とされていますが、トローリングにおいては船の動きでルアーを流しアクションを加えていくことが必要となってきます。ロッドを立てる角度や仕掛けの選び方でアクションに違いを出していきましょう。
ビッグゲームトローリングの意味
競技としての方法にはいくつかの定義があります。国際的なルールとして協会が定める規定は20ポンド以上の太さで行うものをビッグゲームと定めており、ラインの強度で分類しています。正式な世界共通ルールがあることもこの釣りの大きな特徴でしょう。
ライトトローリングの意味
ビッグゲームが20ポンド以上のライン強度で行うものに対して、その数字以下のライン強度で行うトローリングはライトゲームに分類されています。これらは国際的に定まっている共通のルールとして、全世界共通で認識されている規定です。日本で競技として行う際も、この規定に準じて行います。
曳き縄釣りの意味
トローリングの発祥はアメリカですが、日本にも昔から曳き縄釣りといった漁法があります。これは日本最古のトローリングとも呼ばれています。長年の歳月を経て編み出された漁法で、伝統的で効果的な漁として、日本の漁師に受け継がれてきた立派な方法です。
トローリングに必要な艤装とは?
この釣りを行う上で、なくてはならないものが船です。船といっても漁船やクルーザーなどの本格的なものから、ボートなどの比較的手軽なものまで多岐にわたります。そして、船でトローリング行う上で必要なものが艤装と呼ばれる船の装備。このふたつでトローリングが可能となります。
船に必要な装備
艤装を選ぶポイントは、どういった魚をどのような目的で狙っていくかで分かれてきます。揃えた装備で釣れないことがないように的を絞って準備していくことが必要でしょう。船を用意しても艤装がしっかり準備されていなければ釣れないため、最低限の装備は必須です。
ロッドホルダー
この釣りで用いるタックルは重量があり、手で持ち続けるのはかなりの重労働でしょう。そのためロッドを立てておくロッドホルダーが必要となります。ホルダーには埋め込み型、直立型、横付け型、レール用、自由型などがあるので、自身のやり方や船の形状に合わせて選びましょう。
アウトリガー
トローリングはロッドを何本も並べて立てて、掛けを流していくため、それぞれの糸などが絡まないようにする必要があります。これを解消するためにアウトリガーと呼ばれる道具を使用しましょう。
アウトリガーはポールとホルダーから構成されています。設置する船のサイズに合ったホルダーを選び、その範囲で使えるアウトリガーポールを選びましょう。
ファイティングチェア
ビッグゲームトローリングでは、大型の魚であるカジキやクロマグロなど自分よりも大きく重い魚と対峙する場合もあります。立ったまま重いタックルを腕力のみで扱うことは難しいため、ファイティングチェアと呼ばれる釣り専用の椅子を用いて身体を固定し、魚とファイトする必要があります。
ハーネス
大型の魚とファイトする際にはポンピングと呼ばれる体全体を使うテクニックが必要となります。大型魚の強力なパワーは腕の力だけでは到底太刀打ちできません。ショルダー式や腰バンド式などがあり、ファイティングチェアと合わせて使用する場合もあります。
ロッドベルト
ファイティングチェアやハーネス同様に釣り人とロッドを固定するための必須アイテム。全身を使い全体重をロッドに掛けるために必要となります。腕力だけでは魚とのやり取りが困難となるため、ロッドベルトを活用するダイナミックな釣りもトローリングならではでしょう。
水温計
水中の温度を測るために必要となります。海水温の微妙な変化も魚の居場所を探る上では非常に重要な要素のひとつ。装備しておくことで釣りを行うポイント選びの決め手となってきます。潮の流れや温度を頼りに、魚が回遊している場所を特定する場合に役立ちます。
魚群探知機
回遊魚を狙うことの多いトローリングにおいて魚群探知機の存在は、釣り人にとって有益な情報を与えてくれるアイテムといえます。船上からでは把握しきれない海底の地形を認識することができ、魚の居場所を特定する上でも便利な道具。トローリング以外でも釣果を大きく分けるほど重要な装備でしょう。
GPS
GPSをを装備しておくことで常に自身の船の居場所を知っておくことが可能。広い大海原では陸と違って目印となるポイントは、ほとんど見当たりません。船は潮の流れや風の影響を常に受けており一定の場所にとどまり続けることは難しく、知らない内に流されてしまいます。安全面からも必須の装備でしょう。
無線
無線は海での釣りで船に必ず必要な装備となっています。万が一の際には、外部との唯一の連絡手段となる場合もあり、安全面からも必須でしょう。また、競技の際には周りと情報の共有や交換も行えるため、ゲームを楽しむ上でも海上でのコミュニケーションツールとして役に立ちます。
船の装備以外に用意するとよい物
船の艤装は基本的には優先的に装備を整える必要のあるものが多いですが、船の艤装以外にもトローリングを行う上であると便利なものがいくつかあります。用意しておくことでトローリングゲームをより快適に楽しめるため、可能であれば準備しておくことをおすすめします。
ランディングネット
釣れる魚にもよりますが、あると便利な玉網です。フレームの直径は、なるべく大きいサイズが魚を取りこみやすいとされています。ポールの長さは1.5メートルあれば十分でしょう。せっかく掛けた魚を逃さないためにも用意しておくと重宝します。
ギャフ
釣れる魚が大型の場合、ランディングネットでは入りきらないためギャフを用いる必要があります。ライトの場合でも大型魚が釣れないわけではないため、こちらもランディングネットと一緒に準備しておきましょう。揚げられず釣れないといった事態を防ぐことができます。
尻手ロープ
トローリングでは腕のみではなく、全身の力を利用してアクションを起こします。そのため、リールも船体に繋げておく必要があり、ナスカンと呼ばれる留め具と連結して利用します。尻手ロープがないと激しいアクションでリールが外れる場合があるので、損をしないためにも入念な準備が必要となります。
手袋
使用するラインが太く強靭なため、素手で扱うには少々危険な場合が多いでしょう。また、手袋を使用した方がグリップ力のアップするので、力をうまく利用できます。手の保護の面でも革製などの丈夫な手袋を装備して臨みましょう。シイラやカツオなどヒレが鋭い魚を扱う上でも安全です。
メジャースケール
トローリングはスポーツフィッシングとしての位置づけも強いため、釣れる魚のサイズを測る場合が多いでしょう。また、リールのドラグ調整にも活用できるため、あると便利です。可能であれば用意しておきましょう。
ナイフ
船上で使用することが多いナイフですが鉄製ではすぐに錆びてしまうため、ステンレス製のフィッシング専用ナイフを使用すれば手入れも簡単で長持ちします。釣れる魚を捌いたり処理する上で、意味のある持ち物となります。ロープなどを切るためにも必要でしょう
ライフジャケット
ライフジャケットはトローリングに限らず、釣りを行う際には必ず身に付ける意味があります。万が一海に落ちてしまった場合、自分の命を守るための道具となるため、必ず装着しましょう。最近では必要な場面にフォーカスした便利な機能付きのものがあり、おしゃれなものもあるため、お気に入りを見つけましょう。
レインウェア
防水性の高いレインウェアがあると重宝します。大海原での釣りは、急な天候の変化も付きものです。また、船上での釣りは波しぶきを被ることも多いでしょう。快適な釣りを楽しむためには、用意しておくことをおすすめします。
トローリングのセットとは?
釣りは基本的に釣れる魚に合わせたロッドやリール選びが必要となりますが、トローリングでカジキなどの超大型の魚を狙う場合では一般の釣りで利用するようなロッドではなく専用のヘビーロッドがあります。また、200キロ程度の巨体とファイトするためリールのドラグ性能も重視すべきポイントとなります。
トローリングタックルの意味
ライトではなくビッグゲームでは専用のタックルが必要となるため、一般の釣りのタックルの意味とは少々重視するポイントが異なってきます。基本的にはロッドとリールとライン、ルアーなどの仕掛けが必要なので、ポイントを知れば選ぶことも難しくありません。
ロッド
ロッド選びで必要なのはパワーです。ビッグゲームの場合、大型魚とのファイティングにも負けない力強いパワーが必ず必要となります。また、スタンディングでの釣りなのか、チェアファイティングなのか、自身のスタイルに合わせて選ぶ点もポイントでしょう。
リール
リールに関しては強度が重要視する点となりますが、それ以上にドラグパワーやドラグ性能が重要となってきます。大型魚の強烈な引きや走りはこれらの性能が十分でなければ釣れないため、この点を念頭に選ぶ必要があります。レバーブレーキも大型魚とのやり取りでは必須となるため、狙う場合は必ず選ぶようにしましょう。
ライン
競技ではラインの強度が細かく定められているため、トローリングでは重要な要素となります。単純に曳き釣りとして楽しむ場合でも、釣れる魚に合わせた太さやライン強度選ぶことは必要。リールにどの程度巻けるのか適合ラインを合わせて選んでいくと、失敗なくチョイスすることが可能です。
リーダー
リーダーも意味を持ちます。強度の強いものが必要となってきます。ルアーのアクションやエサの動きを妨げない点はもちろん、釣れる魚の大きさに合わせてライン強度を上げていくこともポイント。せっかく掛かったのに釣れないことのないよう、リーダー選びにもこだわりましょう。
フック
シングルフックやダブルフックのものがあり、ここにエサなどを付けます。釣れる魚に合わせたものを選ぶ必要がありますが、仕掛けやルアーのアクションを妨げないサイズを選ぶことも重要です。それぞれの仕掛けやルアーは同じ流しの中でも違ったアクションを持つため、このあたりも意識してフックを選びましょう。
トローリングの仕掛けとは?
船を走らせて仕掛けを流す釣り方では、仕掛けが重要となってきます。ここを理解していないと、うまく釣れないのです。どういったアクションを起こすのか、それぞれの仕掛けの意味を把握しておきましょう。
仕掛けの種類
仕掛けの意味合いは非常に重要で、その時の状況や釣れる魚にも合わせて選びます。これらはいくつか存在しており、ルアーやエサと合わせて魚をおびき寄せるためのアクションを出します。仕掛けによって方法も異なり、釣れない場合は仕掛けを積極的に変えることも必要でしょう。
トローリングの仕掛け:潜行板
ライトな場合での釣法によく用いられる仕掛けです。曳くとルアーを潜らせる意味があります。表層では釣れない場合やレンジを下げたい状況で活用されています。また水中で魚が掛かると、板が返って浮上するようにできています。
トローリングの仕掛け:潜行オモリ
エサや疑似餌を沈めるために使用する仕掛けです。船を曳く速度が遅ければ沈みますが、速い速度で曳くと一定の間隔で逆に浮上するアクションも起こす釣り方が可能です。ライトゲームよりも、ビッグゲームでのルアーアクションの補助に用いることが多いでしょう。
トローリングの仕掛け:ヒコーキ
両方に羽がついています。この羽根の意味は、曳かれる際に水しぶきを上げて水面を飛び跳ねるアクションを起こすこと。ルアーやエサをアピールする意味を持ちます。一番よく使われている釣り方でしょう。
トローリングの仕掛け:バクダン
海面に投入した際に、大きく水しぶきを上げるためバクダンと意味を込めて呼ばれています。また、特有の形状で船を流した際にアウトリガーロッドと用いると、自動的にしゃくるアクションを起こすことが可能。こちらもライトゲームよりは、ビッグゲームで使用されています。
トローリングの仕掛け:トローリングラビット
ラビットの意味は兎のような形をしているからです。船を速く曳いた際にも安定しているため、ルアーやエサでアクションを邪魔しない点も扱いやすい仕掛けでしょう。ヒコーキでは不安定となり釣れない時など試します。ライトゲームよりはビッグゲームで用いられます。
トローリングの仕掛け:ビシマ糸
ライトゲームで使用されることの多い仕掛けで、等間隔にオモリが付けられています。他の仕掛けと違って、ルアーやエサにアクションを付与することはなく沈めるための意味があり、釣れない場合などの状況によって使い分ける必要があります。
トローリングのルアー
ライトゲームでもビッグゲームでもルアーの選び方は重要です。種類も豊富にありますし、自身で一から作る釣り人も少なくありません。エサでの釣り方よりルアーでの釣り方の方が主流で、対象魚に合わせて選ぶ必要があります。釣れない場合は、ルアー選びが原因のひとつでしょう。
トローリングのルアー:タコ・イカベイトルアー
タコやイカの形状を模したルアーです。タコベイトは小型のため主にライトゲームでの釣り方に使用されることが多く、イカベイトは大型のためビッグゲームでの釣り方に使われやすいでしょう。ルアーヘッドやスカートと呼ばれるボディを組み合わせて選びます。
トローリングのルアー:テンテン
昔からのトローリングファンにも愛されている馴染みのルアー。弓角や引角と呼ばれるルアーで曳かれることで高速で回転して、それにより光を反射させて魚をおびき寄せる釣り方となります。ライトな方法で使用されることが多く、釣れない場合にも効果があります。
トローリングで使うエサはなに?
トローリングでエサを用いる場合、生きている魚をエサにする泳がせ釣りがイメージしやすいのですが、死んだ魚をエサにしてアクションさせる釣り方もあります。ルアーで釣れない時、エサ釣りの方がアドバンテージがある場合もあるのです。
エサの使い方もいくつかある
生きエサか、死んでいる魚をエサに使うか。これが分かれるポイントとなります。これにより方法も変わってくるためです。上手く利用すれば、釣れない時にも釣果を上げる方法となるでしょう。釣れない場合の状況を推測して、このポイントを重視していきましょう。
デッドベイト
死んだ魚をエサにして行う釣り方です。カジキ狙いなどのビッグゲームでは、スキッピングベイトやスイミングベイトといった方法でアクションを変えます。魚の動きをこちらで意図的に変えられる点が、デッドベイトのメリットでしょう。
ライブベイト
生きた魚をエサにして泳がせて曳く方法です。ライトゲームで使用されることが多く生きたままエサとするため、その他のしぶい状況にも有効でしょう。ただし、魚の動きをある程度制御しないと仕掛け同士が絡むなどのデメリットがあります。
トローリングで大物とのファイトを楽しもう!
トローリングは世界中で人気のロマンあふれる釣りです。最近では始める方も増えてきています。準備するものが多く、技術面でも経験が必要なため、手軽に始めることは難しいのですが、それを補って余りある興奮と楽しさが魅力でしょう。この機会にトローリングに興味を持って、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。