おいしいイワシを、自分で釣って食べよう!
イワシは、漢字で鰯と書くように、鮮度落ちが速いため加工される場合も多いですが、実はどのように料理してもおいしい魚です。以前は大衆魚と言われ、身近な魚の代表格でしたが、近年は漁獲量が減り、値段も高くなってきていますので、ぜひご自分で釣って、その美味しさを味わっていただきたい魚です。
イワシは、突堤や港などで気軽に釣れる魚です。集団で回遊しますので、サビキ釣りで狙うと一度に4~5尾もかかるときがあり、強烈な引きを楽しむことができます。初心者やファミリーの釣りには、まさにもってこいです。
日本国内で獲れるイワシの種類
国内でイワシといえば、マイワシ・ウルメイワシ・カタクチイワシの3種類を指します。
マイワシ
魚屋さんに並んでいるイワシのほとんどは、マイワシです。旬は6月から10月で、梅雨前くらいから脂が乗り始めます。
ウルメイワシ
大きい目がうるんで見えるウルメイワシは、脂が少なく淡白な味で、メザシなどの干物の原料に多く使われます。
カタクチイワシ
最も小型のイワシで、成魚でも15センチ程度の大きさです。主に、シラス干しや煮干し、アンチョビやオイルサーディンなど加工品の原料に使われています。
イワシの下ごしらえ
新鮮なイワシはウロコが付いていますので、手やペティナイフなどできれいに取りましょう。このひと手間が、料理の仕上りを格段にアップします。ウロコが取れたら、頭と内臓を取り、血合いをきれいに洗ってください。最後に、腹の水気をしっかり ふき取っておきましょう。
下処理のあとは?
あとは、レシピ次第で二枚か三枚におろします。体長が10センチ以下のものは手開きで、10センチ以上のものは包丁を使っておろすのがいいでしょう。中骨は、指でつまめば きれいに取れます。
簡単でおいしいと人気のイワシ料理、5レシピ
洋の東西を問わず、おいしい食材として人気のイワシですので、本当に多くの食べ方があります。ここでは、簡単かつおいしいレシピを5つ、ご紹介します。
イワシのおすすめ料理①:生で食べるおすすめイワシ料理「刺身」
新鮮なイワシが手に入った時は、ぜひ刺身で召し上がってください。特に、脂が乗ったマイワシの刺身は、身が本当にとろけるようで、臭みはまったくなく、脂もくどくないので、ついついもう一つと箸が出てしまうほどのおいしさです。
刺身がおいしそうに見えるかは盛りつけがカギ!
刺身は、三枚におろしたイワシの皮を取り除き、食べやすい大きさに切って盛りつけるだけの簡単レシピです。しかしこの盛りつけにセンスが問われますので、どうしたら美しく見えるかを考えてください。丸皿なら、皿の外側から内側に向かって放射状に並べていくのが、簡単で見栄えも良いです。
腹骨の部分は刺身には不向き
刺身にする時は、腹骨の部分は食感が悪いのですき取りましょう。この部分は、薬味と味噌と一緒に包丁で叩けば「なめろう」になります。これを、放射状に並べた刺身の真ん中に置くのも、プロっぽい盛りつけです。
刺身はアレンジレシピもおいしい!
こうした和風の食べ方以外に、ニンニクとオリーブオイルで作るカルパッチョもおいしいですので、試してみてください。
イワシのおすすめ料理②:叩いて食べるイワシ料理「なめろう」
ちなみに、「なめろう」とは妙な料理の名前ですが、取り分けた皿に付いて残ったものまでなめたくなるほど旨いことから、その名がついたのだとか。
なめろうは美味しい漁師料理
「なめろう」は、房総半島の漁師さんが、漁船の上で獲ったばかりの魚を材料に作った漁師料理です。この料理は、前の刺身ともつながり、また他の様々な料理へバリエーションが広がりますので、ご紹介します。
なめろうの作り方は?
材料は、三枚におろした身か、刺身にする時にすき取った腹骨の部分を使います。この時、中骨に付いている中落ちもおいしい部位なので、スプーンでこそぎ落して使いましょう。
なめろうの簡単レシピ
材料(2人分)
- 三枚におろした身(15センチ程度) 2尾分 もしくは
すき取った腹骨の部分と中落ち ※15センチ程度のサイズであれば、5~6尾分くらい - ショウガ 20g程度
- 青ネギ 適量
- 煎りごま 適量
- 大葉 1~2枚
- 味噌 大さじ1と1/2
1. ショウガは粗めのみじん切りに、青ネギは細かめに刻んでおきます。
2. 腹骨の部分を、包丁の先を支点にして、刃の根元でトントンと押し切り、骨も一緒に細かく
していきます。
3. さらに中落ちとショウガを加えて、細かく刻んでいき、ある程度の細かさになりましたら、
味噌を加えます。
4. 味噌も含めて叩きながら、端を包丁ですくって上に乗せ、さらに叩きます。こうすることで、
味噌や薬味を魚肉に混ぜて、馴染ませていきます。
5. 全体がねっとりしてきましたら、形を整えて大葉を敷いた皿になめろうを移し、その上に
炒りごまを散らして完成です。
この「なめろう」のバリエーションには、次の料理があります。
・さんが焼き : なめろうを焼いたもの
・孫茶 : なめろうのお茶漬け
・水なます : なめろうを氷水にとって、冷やし汁にしたもの
・なめろう丼 : アツアツのご飯の上に、なめろうを乗せた丼
さらに、「なめろう」を食べやすい分量の団子にし、汁にすると「つみれ汁」になります。
このように、「なめろう」を作っておくと、これからさらに多くの料理を作れますので、一度チャレンジしてみてください。
イワシのおすすめ料理③:焼いて食べるイワシ料理「塩焼き」
イワシを焼くとなると、日本人としては塩焼きが一番美味しく感じるのではないでしょうか。塩焼きは、塩を振って焼くシンプルな食べ方ですが、ポイントは、その塩の振り方にあります。塩は、30センチくらい上から全体にまんべんなく振りかけます。そして腹の部分には少し多めに塗っておくと、焼いた時に腹が破れません。尾びれと背びれにも、白くなる程度に化粧塩をまぶしておくとひれが黒焦げにならず、きれいに焼き上がります。定番の大根おろしを添えて、さらにすだちなどもあると、一層おいしく食べられます。
イワシのおすすめ料理④:煮て食べるイワシ料理「梅煮」
煮魚なら、梅煮がおすすめです。ビタミン類、カルシウム、DHA、EPAなど多くの栄養素を持つイワシと、ミネラルやクエン酸を多く含む梅干しとのコラボレーションは、美味しいだけでなく、疲労回復にも効果が期待できます。
イワシの梅煮 簡単レシピ
材料 ~ 2人分
- イワシ 4尾(15~20センチ程度の、下ごしらえ済みのもの)
- 梅干し 大2個(種は取り除く)
- ショウガ スライス2~3枚
- しょうゆ 大さじ4
- みりん 大さじ3
- 砂糖 大さじ3
- 日本酒 大さじ2
- 水 100cc
1. イワシが入る大きさの鍋に、しょうゆ・みりん・日本酒・砂糖を入れてよく混ぜ、水を加えて
ひと煮立ちさせます。
2. 鍋にイワシを並べて入れ、ショウガと梅干も加えます。
3. アルミホイルなどで落とし蓋をした上で、鍋の蓋を閉じ、中火で煮ていきます。
4. 途中、煮汁の様子を見ながら、6~7分程度 煮汁をイワシにかけ回しながら煮ていきます。
5. 煮汁が好みの濃さに仕上りましたら、皿などにイワシを盛りつけて、完成です。
イワシの梅煮は、実はこんなに簡単かつ手早く作れてしまいます。甘酸っぱい仕上がりですので、おかずにもお酒の肴にもぴったりです。身離れも良く、小骨も気になりませんので、お子様にも喜んでいただけるひと品です。
イワシのおすすめ料理⑤:揚げて食べるイワシ料理「フライ」
揚げて食べるといえば、やはりフライが王道でしょう。イワシやアジといった魚のフライは、世代を超えて好まれています。作り方も簡単で、中骨を取り開いたイワシに塩コショウをして、小麦粉・溶き卵・パン粉をまぶして揚げるだけです。お弁当に入れるのなら、三枚におろした身を使うのがいいでしょう。
フライで食べるときの3つの注意ポイント!
フライでは、注意したいポイントが、3つあります。第一のポイントは、塩の振り方です。まずイワシに塩をまぶし、5分ほど待ちます。すると、塩が余分な水分と臭みを出してくれますので、その水気をふき取ったあとで、コショウをまぶしてください。第二のポイントは、パン粉をつけてから1時間、冷蔵庫で休ませることです。このひと手間で、フライの衣が落ち着き、きれいに揚がります。第三のポイントは、油の温度。170~180℃前後の温度で揚げていただくと、カラっと揚がります。
小さめのサイズのイワシであれば、そのまま素揚げにしても良いでしょう。また、南蛮漬やフリッターなども おいしい食べ方です。
まとめ
いかがでしたか。ここでご紹介しましたレシピ以外にも、トマトと煮込むイタリア風煮込みや、オリーブオイルでじっくり煮込むオイルサーディンなど、欧州風の料理もチャレンジしたいところです。そのためには、まず材料のイワシを手に入れなくては。今週末は、イワシを釣りにファミリーで海に行かれてはいかがでしょう。
flickr Photo by 木板皮