未だ根強い人気のグラスロッド
かつて一世を風靡したグラスロッドは、現在ではその座をカーボンロッドに明け渡しているものの未だ根強い人気を誇ります。理由は、グラスロッドならではのよさがあるからというのが答えになるでしょう。
しかし具体的に何がよいのでしょうか?グラスロッドの特徴や用途、使い方も解説しますのでそのよさを知ってみましょう。後半で、グラスロッドの名作のご紹介もさせていただきます。
グラスロッドの構造
まずは、グラスロッドの構造から解説します。初心者であるからこそ、これから自分自身が手に持つ可能性のあるものに対する理解は重要でしょう。併せてグラスロッドの種類についても記述しますので、知識のひとつとして身につけてください。
どんな素材が使われている?
グラスロッドの素材には、グラスという名のとおりガラス繊維と樹脂が使われています。ただしグラスロッドの全てがガラス繊維100パーセントという訳ではなく、カーボンが一定のパーセンテージ含有するものもあります。
グラスロッドの種類
グラスロッドの中にも、いくつかの種類が存在しています。見た目ではなかなかわかりませんが、使用される素材やその素材の含有割合によって明確に区分されています。では一体、グラスロッドにはどのような種類があるのでしょうか?
ピュアグラス
ピュアグラスは、素材がガラス繊維と樹脂だけで製造されており、グラスロッドのメリットとデメリットをそのまま踏襲します。
基本的な用途は海釣りであることが多く、お店の入り口付近にあるリール付きのお買い得なロッドはピュアロッドであることが多いです。ですが製法の進化により、必ずしも安いだけではなくスペックの高い高価なものもラインナップされています。
グラスコンポジット
グラスコンポジットとは、グラスロッドの素材であるグラス繊維に炭素繊維を混合したものを指します。ロッドケースや取扱説明書に、グラス/カーボンの比率が記述してあるものが該当します。
バス釣りにおいては、純グラスロッドや純カーボンロッドよりもこのコンポジットが使用されるケースが大半です。販売されるグラスロッドについても、比較的コンポジットの割合が多いようです。
グラスロッドの特徴
グラスロッドには炭素繊維で作られたカーボンロッドにはない独特の特徴が備わっています。特徴を知って理解を深めることでこれから自分自身が使うロッドの選択肢が広がるでしょう。
しなやかで硬さがない
グラスロッドの素材であるガラス繊維は、カーボンロッドの素材である炭素繊維に比べて弾力と柔軟性に富んでいます。それにより硬さがなくしなやかさに優れ、ロッド全体がフレキシブルな動きを見せてくれます。
ガラス繊維の含有量が多ければ多くなるほど硬さはなく、軽く振るだけで波打つようにゆらゆらとたわみます。
反発力が弱い
実際にグラスロッドを曲げてみるとよくわかりますが、弾力や柔軟性がありしなやかであることから優しく曲がり優しく戻ろうとする特徴を持ちます。言い換えるなら反発力が弱く、これが後述するメリットやデメリットにつながります。
グラスロッドのメリット
グラスロッドにはメリットがあり、それはグラスロッドが持つ特徴が強く関わっています。実際に釣りをした際に、アングラー側に有利となる場面が多く釣果に直接関係しますので、初心者の方は特にチェックしておきましょう。
ラインブレイクを抑える
硬さがなくしなやかなグラスロッドは、魚とのやりとりの中でラインにかかる衝撃や緊張を、継続的に和らげてくれます。そのため釣り上げた後でラインが伸びる、ラインブレイクの確率を下げてくれることになるでしょう。ただしその分、ロッドへの負担が大きくなることを覚えておいてください。
根掛かりに強い
バス釣りに付きもののストラクチャーですが、反発力の弱いグラスロッドこそそのような場面に適しているでしょう。
優しく曲がり優しく戻ろうとする特徴というのは、優しくストラクチャーに触れるという意味でもあります。根掛かりをしても抵抗が少ないので浅くで済み、ルアーロストを最小限に食い止めます。
安い
グラスロッドの素材であるガラス繊維は、炭素繊維よりも素材としてのコストが安いです。そのためガラス繊維で製造されたグラスロッドは、必然的に店頭価格が安いのです。
ただし製造方法やスペックにより、カーボンロッドを価格ではるかに上回るものも少なくありません。そのようなロッドは、ガラス繊維と炭素繊維の双方の良さを強調させたコンポジットであるケースが多いようです。
グラスロッドのデメリット
メリットもあれば当然デメリットもあり、それもグラスロッドならではの特徴が大きく関わっています。グラスロッドのデメリットについて、詳しく解説させていただきますので、デメリットについてもきちんと理解しておきましょう。
合わせが難しい
グラスロッドは先のとおりしなやかな特徴があり、そのため対してロッドが素直に曲がってしまいます。魚のアクションによる振動を、ロッドがその多くを吸収してしまうわけです。
そのため手元にまで感触が伝わらず、合わせのタイミングを逃してしまうことも少なくありません。含有するガラス繊維が多いほど、それは顕著に現れるでしょう。
魚が弱らない
魚とのやりとりというのは、ロッドのしなりが元に戻ろうとする力で魚を疲れさせ、釣り上げるという過程を踏みます。そのことから、優しく曲がり優しく戻るグラスロッドでは、元に戻ろうとする力が弱く魚が弱りません。
そのため、やりとりの中で魚が障害物に逃げ込んでしまったり、魚のサイズによってはロッドが負けて折れる可能性もあります。
重い
ガラス繊維の比重は2.5、炭素繊維の比重は1.8と、ガラス繊維の比重のほうが高いです。そのためガラス繊維を主たる素材としているグラスロッドは、どうしても重さを感じてしまいます。
素材の質が炭素繊維より劣るという扱いで、これがグラスロッドが安い理由です。ですが現在の製法やコンポジットの登場で、単純に下位互換とは言えないところがあります。
グラスロッドの用途や使い方
グラスロッドの用途や使い方について、適切な場面や状況などを挙げて解説していきます。グラスロッドを所持している状態で、うまくその場面や状況に遭遇すれば明らかに釣果に差が出るので、ここは必ず覚えておきたいところです。
バラしたくないとき
しなやかなグラスロッドというのは、魚とのやりとりの際に高い追従性を示します。つまり魚の動きに合わせてロッドが動作するので、針に掛かった魚に対して負担が掛からないのでバラしが抑えられます。
さらにメリットであるラインブレイクの確率を引き下げてくれることも、バラしの回数を減らす直接的なきっかけになるでしょう。
根掛かりしたくないとき
根掛かりに強いグラスロッドは、ストラクチャーなどの障害物が多いフィールドにおいて強みを発揮します。釣れるとわかっている場所でも、ルアーロストなどが懸念される場合に出番となるでしょう。
その特徴によって、障害物などに優しく触れますので根掛かりをしにくいと言えます。実際根掛かりをしても、外れやすいのでルアーの回収は比較的簡単でしょう。
ルアーのアクションを大きくしたいとき
これまでの内容から、グラスロッドには硬さがなく特有の柔らかさを持っていることがわかりました。その特徴はルアーアクション時でも同様で、その結果ラインを緊張させずにわずかにテンションを和らげます。
それによりルアーの動きに制限が掛からず、ルアー本来の動きを発揮することにつながります。制限がないので比較的大きな動作となり、魚の興味を強くひけるようになるでしょう。
バス釣りだけに限らない
もちろんルアーのアクションを大きくすることは、バス釣りにおいてだけ釣れるという結果をもたらす訳ではありません。トラウトなどの獰猛な魚に対しても、最大限の興味を与えることにつながりますので非常に有効です。
持ち主の腕でフォローできる
カーボンロッドのように硬さがなく、柔らかさが強調されるグラスロッドは、不慣れな方にはとても使いにくいものです。ですがその特徴やメリットを生かせば、釣れるための条件がそろうことからカーボンロッドに負けません。
いえ、むしろフィールドによってはグラスロッドに負けないくらい釣れるでしょう。つまり持ち主の腕次第でどうにでもなる、実力が試されるロッドだと考えてください。
グラスロッド名作3選
人気の名作グラスロッドのご紹介と主な用途の解説をします。名作とは言えそこまで敷居を高く感じる必要はなく、使い方も一般的なロッドと同じですので、そこまで身構える必要はありません。
【レジットデザイン】ワイルドサイド
レジットデザイン(Legit Design) ワイルドサイド 5thAnniversary Limited WSC610MH/TZ 6.10フィート
参考価格: 42,222円
ワイルドサイドはレジットデザインが販売している名作と名高いグラスロッドです。ショートロッドならではの手返しの良さ、そしてグラスロッドのデメリットである感度の悪さを克服した大人気の代物です。
用途は主に繊細さが求められるもの、バス釣りだけでなくトラウトも可能です。
【シマノ】ベイトロッドポイズンアドレナ
ポイズナアドレナは大手メーカーSHIMANOの名作グラスロッドです。カーボンの含有量が多く感度が高いのですが、わずかに含まれるガラス繊維がグラスロッドのメリットを醸し出します。
用途はバス釣りにおける打ち物(カバーに対してピンポイント攻めをすること)で、その真価が発揮されるでしょう。全長も扱いやすい範囲ですので、初めての方も使い方で悩むことはありません。
【スミス】スーパーストライクグリップレス
スミス(SMITH LTD) ロッド スーパーストライクグリップレス クラシック GO-103/B
参考価格: 24,750円
スーパーストライクグリップレスはスミスが販売する、カーボンロッドのように扱えると人気のグラスロッドです。上記2点よりも比較的安い商品で、初心者にもぴったりなロッドと言えるでしょう。
用途はバス釣りにおける、初心者の練習に適しています。ある程度の硬さを持っていることから、初心者でも使い方の難易度は低めですので、最初から釣れる可能性が高まるでしょう。
グラスロッドは釣れるからこそ現役
グラスロッドはガラス繊維で作られた、しなやかで反発力の低い特徴を持ちます。そのためメリットとデメリットがカーボンロッドと逆で、さらに持ち主の腕に依存する傾向があるので玄人向きと言えるでしょう。
ただそういった方にはグラスロッドは現役ですし、そこが根強い人気、名作が多い理由となるでしょう。一人のバサーとして、いつかそんな名作見合った実力を身に付けたいものですね。
出典:photo-ac