はじめに
デカバスを狙うアングラーの中では重宝されているにも拘わらず、いまいち一般アングラーにはそのポテンシャルを理解されていないヘビダン。しかし、やり方次第ではライトウエイトのダウンショットリグを含める他のメソッドでは釣ることの困難なバスが釣れるリグなのです。今回はこのヘビダンの基本的な知識やパワーに迫りましょう。
ヘビダンとは?
ヘビダンとはヘビーダウンショットリグを略したものです。つまり、リグのシステム自体は一般的なダウンショットリグと同じで、ラインを結んだフックの下に適度なリーダーを確保し、そこにシンカーをつけるます。違いはシンカーの重さくらいなのです。基本的にベイトタックルでなければ扱えないウエイトのシンカーのものをヘビダンと定義していいでしょう。
ヘビダンのアクション
ボトムでのアクションもライトウエイトのダウンショットリグとほとんど変わりません。シンカーをボトムにつけながらワームをシェイクすることで、移動距離を最小限に抑えながら長時間のアクションが可能になります。
ライトウエイトのダウンショットリグとの大きな違い
アクション面でのライトウエイトのダウンショットリグとの大きな違いは、フォールスピードです。ヘビダンは高速でフォーリングし着底すると、一気にスローなアクションに移行するという緩急はライトウエイトのダウンショットリグにはない特性です。
ヘビダンのメリット
多くのアングラーが愛用するほどのリグなので、それなりのメリットが存在します。釣れるヘビダンゲームを展開するためにもメリットを理解しておきましょう。
リアクションバイトを誘える
ライトウエイトのダウンショットリグでは出せないアクションに、高速フォールがあります。そのヘビーウエイトゆえに生まれるフォールスピードはリアクションバイトを誘発。また着底後はスローに時間を掛けてアピールするという両極性のあるアクションを1キャストで再現できます。
ベイトタックルで扱える
シンカーのウエイトが上がることで、ベイトタックルで扱えるようになります。これにより、カバーに弱かったダウンショットリグをカバー周辺でも使用することができます。
ワームをボトムから浮かせて誘える
ダウンショットリグ全般のメリットになりますが、リグの特性上、ワームをボトムから浮かしてアクションを続けることができます。これはダウンショットリグ最大の釣れるキモでもあります。特にヘビダンの場合、シンカーが動きにくいので初心者でも1点シェイクが簡単にできます。
ヘビダンのデメリット
メリットだけでなく、ヘビダンのデメリットも認識しておきましょう。
リーダーによるトラブル
ダウンショットリグである以上、リーダートラブルのリスクは付きまとってきます。特にキャスト時の木の枝などに巻きついてしまうと釣りの効率が低下し、最悪の場合、ルアーをロストしてしまう可能性があります。かと言って、リーダーを短くし過ぎると、ヘビダンの持ち味が損なわれてしまいます。
シンカーにバイトしてしまう
ダウンショットリグではバスがシンカーに意識がいってしまい、ワームを無視してしまうことがあります。ヘビダンではシンカーが大きくなるため、バスの意識がシンカーに囚われてしまう確率が上がるのです。サイトフィッシングではバスから離れた位置にキャストするなど、やり方次第で、シンカーの存在感を消すことができます。しかしスピーディーなフォーリングアクションを見せる場合、シンカーは必ずバスに見つかります。
ヘビダンにはオフセットフックを使用する
ライトウエイトのダウンショットリグではマスバリのチョン掛けで使用するやり方でバスを狙いますが、ヘビダンではオフセットフックを使用するのがスタンダードです。なぜオフセットフックを使用するのでしょうか?
カバー攻略
ヘビーカバーとまではいきませんが、ベイトタックルで使用するので、障害物付近を攻略する機会が多くなるのがヘビダンです。なので、必然的にフックもスナッグレス性能の高いオフセットフックになるのです。
ワームの身切れ防止
ヘビダンではライトウエイトのダウンショットリグに比べて、大きいワームを使用します。それで、マスバリのチョン掛けではワームが簡単に身切れしてしまうのです。一方、2点にフックを掛けるオフセットフックはそういったリスクが軽減されます。
ヘビダンにマッチするワーム
スピニングタックルで扱うダウンショットリグには小型のシャッドテールワームやシュリンプタイプのワームを多用します。ヘビダンにはどんなワームがマッチするのでしょうか?
クローワーム
ライトウエイトのダウンショットリグではシュリンプワームをよく使用しますが、ヘビダンではクローワームの出番が多くなります。ある程度スピードの出るフォーリングでも存在感を維持しながら、ボトム付近ではザリガニをイミテートしてくれるなど、柔軟な使い方が可能です。
ギル系ワーム
今や流行からスタンダードへと定着したギル系ワームもヘビダンとの相性は抜群です。ボトム着底後にラインテンションを利用してワームをサスペンド状態にする使い方では、ボトム付近で漂うギルそのもので、あらゆるフィールドで釣れる組み合わせです。
ロングカーリーテール
ロングカーリーテールはフォーリング中もアクションし、ボトムでは繊細なロッドアクションでもテールがなびくのでヘビダンにマッチします。5gほどのシンカーを使用すれば、中層をシェイクしながらスイミングさせるような使い方も可能です。
ヘビダンに適したタックル
ヘビダンに適したタックルセッティングに注目してみましょう。ヘビダンなのでベイトタックルでの使用を前提として紹介します。
ロッド
ロッドを通して地形を感じ取り、シェイク時のアタリも確実に捉えるためにもファストテーパー気味が扱い易いでしょう。ヘビダンと言ってもシンカーは重さは5~20gと幅広いので、パワーはウエイトに応じたものをセレクトしましょう。
リール
リールは、回収やフッキング直前の糸フケ処理を考慮するとハイギアが最も合理的です。逆にローギアリールを使用するメリットはあまりないので、特別な理由がない限りはハイギアを使用しましょう。飛距離はあまり必要のないリグなので、近~中距離の使用を前提とした扱い易さを重視してセレクトします。
ライン
ラインはフロロカーボンが理想的です。感度、フッキング、キャストなど、ヘビダンを使用するうえでオールラウンドに能力を引き出してくれるラインです。慣れてくるとPEで使用するのもOKです。PEの浮力がフロロカーボンとは違ったダウンショットリグの使用感やポテンシャルを引き出してくれます。
日本記録を捕獲したヘビダン
実は過去に捕獲された日本記録を樹立するデカバスの中には、このヘビダンを使用して捕獲されたものがいます。そのバスが釣り上げられたのは2003年の池原ダム。アングラーはデカバスハンターとして有名なサタン島田氏でした。その日本記録バスのウエイトは8620gでした(現在では琵琶湖で釣られた10120g)。そのバスの捕獲に使用されたのがヘビダンでした。
進化するヘビダン
現在ではこのヘビダンの派生形とも言える、新たなリグがいくつか誕生しています。
チェリーリグ
ヘビダンのリーダーがワイヤーになったようなシステムを採用したチェリーリグ。直リグとヘビダンの中間のような存在です。ヘビダンのデメリットでもあった、枝などにリーダーが巻きつくというトラブルが解消され、直リグよりもワームがボトムから離れる特性を持ちます。
スルーダウンショット
このリグもチェリーリグ同様、リーダーの部分にワイヤーを使用されていますが、大きな違いは柔軟なワイヤーを採用しているという点です。これにより、リーダートラブルはチェリーリグのように軽減されながらも、ボトムでのシェイクアクションなどに違いが生まれるのです。
まとめ
やり方次第では攻めにもフィネスにもなるヘビダン。なかなかスタンダードにならないリグですが、デカバスを狂わすポテンシャルを秘めていることが分かっていただけたかと思います。独特の使用感があるリグですが、使いこなせば必ず頼もしい武器になってくれます。一度挑戦してみましょう。