はじめに
ワーム素材のボディーから放たれる、ソフトな波動とナチュラルなアクションでバスを魅了するスイムベイト。昔は一部のコアなアングラーしか使用してなかったジャンルですが、今ではサンデーアングラーはもちろん、プロが試合や取材で積極的に投入するほどの人気カテゴリーとなりました。しかし、まだ本格的に使ったことがないという初心者は、何を買って良いか迷ってしまうのではないでしょうか?今回はそんな方々にむけて、初心者でも釣れる人気スイムベイトをご紹介します!
スイムベイトのパワー
ソフトでパワフルな波動
クリアーな水質のフィールドが多い日本では、バスの視覚に訴えかけるルアーが必要になりますが、アングラーによるプレッシャーが常に掛かっていて、クランクベイトなどの動きは見切ってしまうなんてことは当たり前。小さなソフトルアーに頼れば、釣れるものの、広いエリアをサーチできなくなり、サイズも選べなくなります。そんな時に役立つのが、スイムベイトです。スイムベイトは、ソフトなワーム素材の大きなボディーが駆動して、力強い波動を遠くまで飛ばします。この波動のおかげで、バスは遠くからでもルアーを発見することができます。スイムベイトは、ナチュラルなアクションとソフトな波動が、スイムベイトをルアーだと感じさせないことで、クレバーなバスをも釣れる頼もしい味方なのです。
咥える時間を伸ばすワーム素材
ソフトなワーム素材の恩恵は他にもあります。それは、ハードルアーと違い、バスがルアーを一度咥えると離し難いという点です。スイムベイトとビッグベイトを比較するとその違いは歴然で、ビッグベイトがバスの口の中に2秒以上閉じ込められることは、滅多にありません。一方、スイムベイトならワーム素材の柔らかな食感が手助けして、バスが数秒間ルアーを離さない傾向があります。
自分に適したスイムベイトに出会うために
現在数多くの種類が発売されているスイムベイト。自分に合ったものを見つけることができればよいのですが、何を基準にすればよいのでしょうか?
サイズ
自分がよく行くフィールドのことを頭に浮かべ、フィールドの規模やバスのアベレージサイズにあった大きさのスイムベイトを選びましょう。野池などの小規模フィールドやタフコンディションでは、コンパクトなスイムベイトを使うのが一般的です。対照的に、大きな魚が多いフィールドや魚に遠くからでもルアーを発見して欲しい時は、大きなスイムベイトが有効になります。多くの場合、1つのスイムベイトに数種類のサイズラインナップが用意されているので、様々なサイズをローテーションし、反応の違いを窺いましょう。
ウエイト
またサイズに比例するウエイトも重要です。スイムベイトは2ozを超えるものが数多くありますが、対応ウエイトの限界が1ozのロッドで2ozのルアーをフルキャストしてしまうと、ロッドが折れてしまうという悲劇が起こりかねません。所有しているタックルにマッチするウエイトかどうかを考慮しながら、無理のないスイムベイトを選びましょう。
カラー
ワーム素材のスイムベイトは音やフラッシングを発生させないルアーなので、濁った水質ではチャート系などの派手な色で視覚的なアピールを心掛けなければなりません。逆に、クリアーな水質ではナチュラルなカラーを使用することで、違和感なくバスをバイトに持ち込むことができます。これらはあくまでも基本です。この基本をベースに、さらに繊細な、シチュエーションに応じた釣れるカラーセレクトを目指しましょう!
初心者におすすめスイムベイト12選
ダンクル/ジャッカル
細身のボディーが多い日本のスイムベイトとは違い、頭でっかちのダンクル。大きなヘッドが強く水を押し、テールは艶かしく動くことで生まれる複合した「強くてソフトな波動」で、デカバスが釣れると人気です。また、背中にフックをセットできるような設計となっており、ボトム付近やカバーのレイダウンの多いエリアにも対応可能。オリジナルサイズは7in。この他にも5inモデルや9inもあるメガロダンクルがラインナップされています。スイムベイトのボリュームに抵抗がある人や、ヘビータックルを所有していない人には5inモデルが大人気!
ディズラ/ジャッカル
一味違ったスイムベイトに挑戦したいという方にオススメなのがジャッカルのディズラ。見てわかるように、頭にプロップが装着されているのが他との大きな違いです。テールも特徴的な形状で、とてもナチュラルなアクションを生み出します。プロップとテール、素材の違いから生まれる波動で、他のスイムベイトには釣れない魚が釣れるのです。一般的に濁りに弱いと言われているスイムベイトですが、プロップのフラッシングで軽い濁りならば、問題なくバスに発見させることができるのが、ディズラの強みでもあります。コンパクトでキャストし易いため初心者にも人気です。
デラボール/ジャッカル
キュートなルックスと優れた集魚力で人気のデラボール。手のひらに収まるサイズながら、しっかりと水を噛みながらバスにアピールしてくれ、そのコンパクトなボディーゆえに、30㎝クラスのバスも果敢に口を使ってきます。スイムベイト全般は濁りに弱いですが、デラボールのカラーラインナップは派手なものが多く、濁ったシチュエーションでも積極的に使用可能です。
極小スイムベイト ベビーデラボール
デラボールには弟分のベビーデラボールもラインナップされています。オリジナルでも十分にコンパクトなデラボールのダウンサイズモデルなので、ベビーはスピニングタックルで使えてしまいます。小バスも簡単に釣れるので、キャストからフッキング、ランディングまでの動作を練習するにも最適です。スピニングタックルしか所有していないという方は、是非ベビーデラボールから始めてみてください。
マグスロウル/メガバス
スローリトリーブ特化型のマグスロウル。春の低水温期や真夏の炎天下でバスがグロッキーな状態になっているときなど、スローかつ、控えめなアクションでバスをバイトに持ち込むタフコンディション向けスイムベイトです。スローリトリーブ特化型ということで、汎用性には欠けますが、他のスイムベイトが通用しないタフコンディションほど釣れるルアーです。1つ持っておいても損はないルアーでしょう。ラインナップされているサイズは5in、7in、9inの3種類です。
スイムベイト史上最遅⁈デッドスロウル
ただでさえスローリトリーブ対応のマグスロウルを、さらにスローに巻くために仕様変更されたのがデッドスロウル。もちろん、さらにニッチな存在になってしまうわけですが、このルアーにしかバイトしてこないという状況が必ずあるはずです。マグスロウルとの使用感の違いをチェックしてみるのも面白いでしょう。
デビルスイマー/シグナル
日本屈指のデカバスハンター、奥田学が手掛け、日本のスイムベイトの中心的な存在となったデビルスイマー。人気でなかなか手に入らない時期が続いたほどの名作です。独自のテール設計で、ロールアクションが抑えられ、代わりにワイドにテールを振るという唯一無二のアクションが釣れる理由。また、大きくアクションするものの、波動自体はとてもナチュラルで、スレたバスも躊躇なくバイトさせる、日本のフィールドにマッチしたスイムベイトです。7inモデルとデッドスロー対応モデルの3種類が発売されているので、是非試してみてください。
ダークスリーパー/メガバス
メガバスからリリースされたダークスリーパーは、スイムベイトには珍しいハゼ型です。最大の特徴は、フックが収納されている背ビレ。ボトムにコンタクトしながらリリースしても根掛かりしないというコンセプトで、引っかかることなくボトムを這う姿は、まさにハゼそのものです。クランクベイトやスピナーベイトを扱うタックルがあれば扱えるコンパクトサイズで、コバスも楽々バイトしてきます。サイズは2.4in、3in、3.8inの3種類で、2.4inと3.8inには2種類、3inには3種類のウエイトがラインナップされています。フィールドのベイトフィッシュにあったサイズを選んでから、ボトムをキープできるウエイトを選ぶといいでしょう。
ステルススイマー/イマカツ
スイムベイトの最先端を走っていると言えるのが、このステルススイマー。発売前から注目され、発売後は人気で品薄状態が続くルアーです。特徴は何と言ってもステルスフックシステムによる、フックの存在感を完全に消したフォルム。画像を見てわかる通り、フックが全く見えません。しかし、ボディー内部には大型のフックが備わっており、バスがルアーを咥え、アングラーがフッキングすると…
このように、フックが飛び出す仕組みになっているのです。従来のスイムベイトには無かった驚異のスナッグレス性能とフッキング性能を両立。また、数々のルアーを見てきた経験値を持つバスはフックを見てルアーと本物の餌を区別すると、多くのプロアングラーは語ります。つまり、バスからフックが見えないステルススイマーは他のスイムベイトよりもバイトの確率が高くなるということになります。ウエイトも数種類ラインナップされていて、アングラーのニーズに合わせて使い分け可能。フックが見えないことで生まれる違いを一度体験してみましょう。
誠魚/一誠
日本製スイムベイトの歴史に残る人気スイムベイト、ウオデスを手掛けた村上晴彦氏が生み出したのが誠魚(マサウオ)。ハンドポワードという製法で、他の量産的なスイムベイトよりソフトに仕上げられています。この柔軟なボディーから生み出されるアクションは意外とタイトで、テールを大きく動かさない代わりに、そのテールの動きを柔らかいボディーへと伝達し、全身がライブリーに駆動するという洗練されたスイムベイトなのです。もしかすると、スイムベイト初心者には物足りないアクションに見えるかもしれませんが、本物の魚に近いスイムベイトと言えるでしょう。
ラドラビット/デプス
バスフィッシング初心者のほとんどが、岸から釣りを楽しんでいることでしょう。そんな人たちに注目していただきたいのが、オカッパリのために開発されたラドラビット。スナッグレス性能を高めるワイヤーガードが標準装備されており、水中のレイダウンなどへの根掛かりを激減させます。そして、このルアー最大の特徴と言えるのが2種類のラインアイ。それぞれのアイどちらにラインを結ぶかで、泳層に違いが生まれます。下のアイを使用すれば、スローリトリーブでも比較的に浅いレンジをキープして攻略。上のアイでは、ルアーは浮き上がりにくくなり、ミドルレンジをキープできるというバーサタイル性を秘めています。
ユニオンスイマー/フラッシュユニオン
人気フローティングスイムベイトのユニオンスイマー。ソフトルアーでありながら、水面でステイさせたり、ジャークを交えたコンビネーションが可能など、他のスイムベイトにはできない技を多く披露できますが、初心者にとって嬉しいのは、着水後から巻き始めるまでに生じる根掛かりが激減する点です。また、シリコン素材のホールにフックを簡単に固定することができ、ビビッドクルーズ同様、ワームボディーを痛めることなくフックを脱着できます。昨年発売された128㎜モデルはミディアムクラスのロッドで楽々扱えるので、初心者に打ってつけです。
ギルフラットスイマー/一誠
このギルフラットスイマーはボディーに設けられた蛇腹によって、全身を駆動させるタイプのスイムベイトです。一般的なスイムベイトは支点を軸にボディーをくねらせますが、ギルフラットスイマーはシャッドテールを排除しています。支点のない蛇行アクションはブルーギルそのもので、他のスイムベイトを見切ってしまったバスも釣れるでしょう。トゥイッチなどでもアクションを演出できるところも、ギルフラットスイマーならではの魅力です。体高がありますが、同ブランドの誠魚同様、ハンドポワード製のとてもソフトなワームボディーのおかげで、バスの口の中でコンパクトに潰れ、フッキングも問題ありません。
ハドルトラウト/ハドルストン
世界的人気のハドルトラウト。独自形状のハドルテールはスイム時に一切ローリングアクションをせず、左右にゆっくりとパタパタと動かします。一見地味なアクションですが、なぜかバスがとても反応を示します。上で紹介したディズラなど、日本のスイムベイトにもこのハドルテールに似たデザインの製品が多くありますが、このテール形状の元祖がこのハドルトラウトなのです。サイズは12in、8in、5inの3種類がラインナップされ、ハドルシャッドと呼ばれる4inモデルも存在するので、フィールドにあったサイズをチョイスすることができます。初心者は、まず5inから始めるのが無難でしょう。
変わり種のスイムベイト
最後に少し変わったスイムベイトを1つご紹介します。そのルアーとは、ジャッカルから発売されているグリンチです。正しくはフロッグに分類されるようですが、スイムベイト+フロッグのハイブリットなルアーと言えます。テールは一般的なスイムベイト同様、ワーム素材。そしてボディーはフロッグのようにソフトな中空構造となっているのです。もちろんフローティングで、水面しか狙うことができませんが、正統派スイムベイト顔負けのアクションをカバー周りで演出することができます。また、一般的なフロッグとも違い、水面をただ巻きで攻略できるのが強みです。
スイムベイトを末永く使うために
自分にぴったりのスイムベイトに出会えたら、できるだけ長く使いたいものです。しかし、スイムベイトはワーム素材でできている以上、2、3匹釣っただけでワームが裂けてしまうことがあります。そんな時に役立つのがFix-A‐LureのSpike-Itというワーム補修ボンドです。このボンドの優れた点は、接合部が全く固くならないところです。この特性はソフトルアーあれば種類を選ばず効果を発揮するので、スイムベイトユーザーなら持っておいて損はないでしょう。ただし、一瞬ワームを溶かしてから接合する「溶接」のような作用で修理するので、つけ過ぎるとスイムベイトが溶けてしまいます。
まとめ
パッと見た感じでは、似た造形の製品ばかりのスイムベイトですが、素材やアクションなど、それぞれが個性を持っていることを理解していただけたと思います。実際にフィールドで使用してみると、その違いや奥深さに感動するでしょう。スイムベイトは適材適所で使い分け、ポテンシャルを引き出すことができれば、必ず目覚しい活躍をしてくれるルアーです。自分にあったスイムベイト数種類見つけ出し、シチュエーションに応じてベストなスイムベイトをチョイスしましょう。