マツカサウオは市場に出回らない珍しい魚
マツカサウオはキンメダイ目マツカサウオ科の海水魚で、全長は15センチほどです。硬いウロコや発光器官など他の魚にはないユニークな特徴を持っており観賞魚として人気です。岩礁域に生息し、昼間は岩陰に隠れていますが、夜間になると活動し、発光器官でエサをおびき寄せると考えられています。
マツカサウオは食用にもなる魚で、市場に滅多に出回りませんがおいしく食べられます。
マツカサウオの特徴
マツカサウオは最大でも全長15センチほどの大きさで、松ぼっくりのような大きく硬いウロコと鋭いトゲを持つ特徴があります。パイナップルのような体色をしており、ユニークな見た目の魚です。
下あごには微弱な光を出す発光器官が付いており、エサをおびき寄せるのに使うと考えられています。マツカサウオはグーグーと鳴き声を出せるという特徴も持っています。
特徴①:大きさは最大でも15センチ程度
マツカサウオは最大でも全長15センチほどの小さいサイズの魚で、見た目がかわいいため観賞魚として人気です。メスよりもオスのほうが平均してサイズがやや大きいです。
幼魚は黒い体色をしていますが、成長するにつれて黄色と黒が網目がかったような体色に変化します。マツカサウオは見た目から英語でパイナップルフィッシュと呼ばれています。
特徴②:硬いウロコと鋭いトゲを持つ
マツカサウオは全身が鎧のように大きく硬いウロコに覆われています。マツカサウオという名前の由来は見た目が松ぼっくりに似ているところからきています。マツカサウオの背びれと腹びれはトゲ状で非常に鋭いため、触ったり、さばくときには注意が必要です。
マツカサウオは泳ぐのが非常に遅いですが、硬いウロコと鋭いトゲが外敵から身を守るのに役立っています。
特徴③:下あごに発光器官を持つ
マツカサウオの下あご先端部には微弱な光を出す1対の発光器官が付いており、部屋を暗くすると薄い緑色の光を観察できます。1914年に富山県の水族館で停電が起きた際に、暗い中で光るマツカサウオの様子が偶然発見されました。
発光は発光器官に共生している特殊なバクテリアによって行われますが、マツカサウオがバクテリアを確保する方法についてはよくわかっていません。
特徴④:鳴き声を出す
マツカサウオは鳴き声を出せるという珍しい特徴も持っています。マツカサウオを水から揚げて、トゲを使って魚体を立たせるとグーグーと鳴きます。マツカサウオは鳴き声を威嚇に使っているのではないかという説がありますが、詳しくはよくわかっていません。
マツカサウオの生態
マツカサウオの分布域は北海道以南の太平洋側と日本海側の水深100メートルまでの岩礁帯です。昼間は岩陰に潜んでいることが多いですが、夜になるとエビや小魚などエサを求めて活動する生態を持ちます。
マツカサウオは光量の少ない夜に、下あごに付いている発光器官を使ってエサをおびき寄せて捕食すると考えられています。
北海道以南の水深100メートルまでの岩礁域に生息
マツカサウオは北海道以南の太平洋側から日本海側までの広い海域の沿岸部に生息しています。水深100メートルまでの岩礁域を好むので、磯遊びや岩礁域のダイビング、釣りなどでマツカサウオに出会うチャンスがあります。マツカサウオは岩陰に隠れる習性があるので砂地には生息していません。
昼間は岩陰に潜んで夜間に活動する
マツカサウオは夜行性で昼間は岩陰でじっとしていることが多い魚です。マツカサウオは夜になると岩陰から出てきて、エビや小魚などのエサを求めて活発に行動します。夜間は微弱な光でエサをおびき寄せるには最適の時間帯です。夜間にダイビングをすれば、動き回っているマツカサウオを観察できるでしょう。
光でエサをおびき寄せて捕食する
マツカサウオはチョウチンアンコウのように、光を用いてエサとなる甲殻類や小魚をおびき寄せていると考えられています。水族館では、マツカサウオがエサの匂いに反応して発光が強くなる様子が観察されたことがあるようです。マツカサウオを飼育している人は実験してみることをおすすめします。
マツカサウオのおすすめ料理方法
マツカサウオは三枚におろして刺身で食べると大変おいしいです。刺身以外にも丸焼き、もしくはぶつ切りにして味噌汁や煮付けに入れてもおいしく食べられます。
マツカサウオは可食部が少なく、ウロコとトゲのせいでさばくのが大変ですが、脂が乗っていて癖もない上質な白身です。新鮮な状態なら、肝もおいしく食べられます。
料理方法①:刺身
新鮮な状態のマツカサウオを入手できたら、三枚におろして刺身で食べることをおすすめします。マツカサウオはウロコとトゲが原因でさばく難易度が高いですが、刺身で食べられます。可食部は少ないですが、脂の乗った白身で癖がなく非常においしいです。新鮮な状態なら、肝も肝醤油で食べられます。
さばき方のコツは出刃包丁で危険なトゲを先に落とし、皮はウロコ付きのまま引くことです。
料理方法②:丸焼き
マツカサウオはさばくのが大変なので、最初に危険なトゲを切り落としてから丸焼きで食べるのもおすすめです。マツカサウオを丸焼きにする際はウロコ付きのまま焼くことがポイントです。魚体の内部が蒸し焼き状態になり、身が焦げてしまうのを防げます。
焼けた身は包丁でぶつ切りにして、中身に醬油を垂らして食べるとおいしく食べられるでしょう。
料理方法③:煮付け
マツカサウオは上質で癖のない白身なので、煮付けにしてもおいしく食べられます。さばき方としては、トゲとエラ、内臓を取ってから、頭と胴の間をぶつ切りにするだけで十分です。
一般的な魚の煮付けでは味が染み込むように身に切れ込みを入れるのが普通です。しかし、マツカサウオの場合はウロコが硬く、身も小さいので切れ込みは必要ありません。
料理方法④:味噌汁
マツカサウオは他の魚と同じようにエラと内臓を取ってからぶつ切りにして、味噌汁に入れてあら汁としても食べてもおいしいです。マツカサウオからはよい出汁がとれるので、昆布出汁とあわせると非常においしいあら汁が作れます。マツカサウオの身を食べる際はカニのように身をほじくり出すと食べやすいです。
マツカサウオの入手方法
マツカサウオの主な入手方法は通信販売か海での捕獲で、難易度は高めです。マツカサウオは市場にほとんど出回らない魚なので、スーパーの店頭で見かけることは滅多にありません。
自分で捕獲する場合はサイズが選べないので、特定のサイズの個体を確実に入手したいときは通信販売がおすすめです。通販サイトを定期的にチェックすれば目的のサイズの個体を見つけられます。
入手方法①:通信販売で購入
マツカサウオは食用・観賞用ともにオークションなどの通信販売から入手できます。通信販売は特定のサイズの個体を確実に入手したいときにおすすめです。定期的にサイトをチェックすれば、欲しいサイズの個体を購入できるチャンスが回ってくるはずです。
マツカサウオの値段は食用に比べて観賞用のほうが高額になり、観賞用ではおよそ数千円から1万5千円程度で取引されます。
入手方法②:自然界で捕獲
マツカサウオは生息域である北海道以南の岩礁帯であれば沿岸部で採集できます。マツカサウオは夜行性なので、夜間かつ潮が引くタイミングに潮だまりで探してみることをおすすめします。夜の磯は危険を伴うので、潮位をしっかり把握するなど安全対策はしっかりとしておきましょう。
採集以外だと、マツカサウオは夜釣りで偶発的に釣れる可能性もあります。
マツカサウオは見て楽しい食べておいしい魚
マツカサウオはユニークな外見と生態を持つことから観賞魚として人気の魚です。飼育が難しい場合でも水族館に行けばマツカサウオを観賞できます。
一方でマツカサウオは食味も抜群で、さばくのが大変であることと可食部が少ないことを除けば、上質な白身を味わえます。癖がなくさまざまな料理でおいしく食べられるので、入手できた際はぜひ食べてみるとよいでしょう。