ダンゴウオはどんな生き物?
ダンゴウオは海に住む小さな魚で、かわいい見た目と少しだけ変わった生態で人気のある生き物です。テレビ番組でもたびたび取り上げられていて、取り上げられるたびに話題を呼びました。ダンゴウオは日本の近海では冬になると浅場で観察でき、いくつかの水族館でも見られます。
ダイバーに人気のかわいい魚
ダンゴウオはとくにダイバーの間で人気が高く、「ダイバーのアイドル」「真冬のアイドル」などとも呼ばれます。丸い小さな形やカラフルな体、くりくりした目がかわいらしく、不思議な泳ぎ方も愛らしいです。ダンゴウオはぬいぐるみやワッペンなどのグッズもあって、キャラクターとしても好まれています。
スズキ目の魚の1つ
和名 | ダンゴウオ |
---|---|
分類 | スズキ目ダンゴウオ科ダンゴウオ属 |
ダンゴウオはスズキ目の魚のひとつで、カジカ亜目のダンゴウオ科ダンゴウオ属に属します。ダンゴウオ科には6属28種がいるとされ、日本の近海にいるのはフウセンウオ・コンペイトウ・ホテイウオなどの約10種です。ダンゴウオをはじめ日本の近海にいる種は多くが小型種ですが、他地域には60センチを超える種もいます。
ダンゴウオの生態
丸い小さな体
ダンゴウの体は丸くて小さく、体長は成魚でも2~4センチにしかならず、幼魚は数ミリです。体の表面はすべすべしていて、顔の形は正面から見るとスライムのようで、ひれは胸・背・尾にありますが小さくて目立ちません。オスは背びれが大きめでとげとげしており、メスは背びれが小さく丸みを帯びています。
おなかの吸盤で海底に貼りついている
ダンゴウオはおなかに吸盤が1つあり、日中は海底の岩や海藻に貼りついてじっと身を潜めています。水槽で観察すると、吸盤で岩や底にくっついている様子はマスコットのようでかわいいと評判です。吸盤は腹びれが進化したもので、ダンゴウオは泳ぎがうまくないので吸盤で海底に貼りつくことで急流から身を守っています。
夜行性で肉食性
ダンゴウオは夜行性の魚で、夜になるとエサを探して海底を動き始め、小さな甲殻類や軟体動物、動物性プランクトンを食べます。
泳ぎ方は魚としては変わっており、海底を跳んだり、滑ったり、漂ったりするように動くので、必死に見えて愛らしいと評判です。食べる様子は豪快であり、エサに静かに近づくと吸い込むようにして丸ごと食べてしまいます。
カラフルでかわいい
ダンゴウオの体の色は個体によって異なりカラフルで、ダンゴウオがかわいいと人気を集める理由の1つです。体色の種類が多いのは貼りついた場所に擬態をするためで、散らばって身を隠すことで子孫をより多く残します。
体色は緑色・赤茶色・褐色・黄色・白色・紫色などがあり、同じ親から生まれても環境やエサによって異なるそうです。
冬に浅場で産卵する
ダンゴウオは冬になると浅場に出てきて、12~1月ごろには岩礁や潮だまりにある小さなくぼみを巣穴にして卵を産み付けます。巣穴はフジツボやせん孔貝の抜け殻が主で、抜け殻を掃除して整えるのはオスの役割です。卵は直径1~2ミリの大きさで数十個の塊で産み付けられ、メスは1シーズンに2~3回産卵します。
オスが卵を守る
ダンゴウオのメスは卵を巣穴に産み付けるといなくなり、オスがつきっきりで卵を守ります。オスの役割は巣穴の入口に貼りついて卵を外敵から隠しつつ、卵に新鮮な水を送ることなどです。オスは卵がふ化するまで、1か月前後の間エサを食べずにひたすら卵を見守り続けます。
幼魚には「天使の輪」がある
ダンゴウオの幼魚は生まれてすぐの間だけ、頭部に「天使の輪」と呼ばれる白い輪の模様があります。天使の輪のある幼魚はかわいいと話題で、模様はふ化してから約7~10日後までには消えるせいもあってとくに人気が高いです。
幼魚も生まれたときからすでにおなかに吸盤があり、ふ化するとすぐに巣穴から出て岩や海藻に貼りつきます。
寿命は1年
日本の近海にいるダンゴウオの一生 | |
---|---|
12~1月ごろ | 成魚が浅場に出てきて産卵し、一生を終える |
2~3月ごろ | 浅場で天使の輪の付いた幼魚がふ化する |
4~5月ごろ | 浅場で幼魚が成長する |
6~11月ごろ | 深場にもぐる |
自然界で生きるダンゴウオの寿命は1年しかなく、雌雄ともに繁殖のために力を使い果たしてしまうと考えられています。ダンゴウオを水槽できちんと管理して飼育した場合でも、寿命はうまくいって2年のようです。
ダンゴウオは寿命が短いので成長も早いですが、日本の近海の浅場では水温の都合で12~5月ごろまでしか見られません。
青森~三重の太平洋岸に分布
ダンゴウオは青森県~三重県の太平洋岸に分布し、冬になると浅場の岩礁や岩だまりに出てきますが、夏の生息場所は不明です。宮城県では水温が低いためか、例外的に1年を通して浅場で姿を確認できる場所もあります。
青森県~長崎県の日本海岸に生息する種もダンゴウオとされていましたが、サクラダンゴウオという別種だと判明しました。
ダンゴウオのかわいい仲間たち
フウセンウオ
和名 | フウセンウオ |
---|---|
分類 | スズキ目ダンゴウオ科イボダンゴ属 |
分布 | 日本海岸・北海道沿岸 |
大きさ | 6~10センチ |
色 | 灰褐色・茶褐色・オレンジ色・黄色など |
フウセンウオはダンゴウオの仲間として有名で、大きさは6~10センチほどでダンゴウオよりも少しだけ大きいです。体色は灰褐色・茶褐色・オレンジ色・黄色などで、小さなこぶや黒い斑点がある個体もいます。日本の近海では日本海岸や北海道の沿岸に生息していて、ダイバーの間では「北海のアイドル」として人気です。
コンペイトウ
和名 | コンペイトウ |
---|---|
分類 | スズキ目ダンゴウオ科イボダンゴ属 |
分布 | 山口県以北の日本海岸・北海道の沿岸 |
大きさ | 10センチ以下 |
色 | 褐色ほか |
コンペイトウはダンゴウオの仲間の一種で、山口県以北の日本海岸や北海道の沿岸に生息します。大きさは10センチ以下で、体色は褐色が多く、ダンゴウオやフウセンウオのように明るい色はありません。コンペイトウはダンゴウオが好きな人に人気で、名前や、こぶに覆われた丸い体が愛らしい生き物です。
ダンゴウオの飼育は難しい?
水温・水質の管理が大変
ダンゴウオの飼育はアクアリウムの初心者にはとても難しく、とくに水温と水質の管理が大変です。ダンゴウオは15~20度の水温でしか生きられないので、1年を通してきちんと水温を管理する必要があります。水の交換は1か月おきで問題ないですが、ダンゴウオは海の魚なので水槽の水には人工海水が必要です。
電気代やエサ代の費用がかさむ
ダンゴウオの飼育が難しいのは、電気代やエサ代などの費用がかさむためでもあります。ダンゴウオの飼育は水温を冷たく保つ必要があるので、冷蔵庫水槽や水槽用クーラーが必要です。エサは基本的に人工のものは食べないので、慣れさせるまでは生きた小エビや小魚を調達する必要があり、手間もお金もかかります。
ダンゴウオが見られる水族館は?
サンシャイン水族館など
ダンゴウオは東京の池袋にあるサンシャイン水族館をはじめ、ヨコハマおもしろ水族館や新江ノ島水族館、上越市立水族館などでも見られます。静岡県の下田海中水族館は国内で初めて繁殖に成功させた水族館で、常設展示を始めました。いずれの水族館でも展示の内容が変わる可能性がありますので、訪れる前にお確かめください。
住所 | 〒170-8630 東京都豊島区東池袋3-1 サンシャインシティ ワールドインポートマートビル 屋上 |
---|---|
公式サイトURL | https://sunshinecity.jp/aquarium/ |
電話番号 | 03-3989-3466(4~10月:9:30~21:00、11~3月:10:00~18:00) |
アクセス | JR・東京メトロ・西武・東武「池袋」駅35番出口より徒歩8分 首都高速5号線「東池袋」出口すぐ(駐車場北入口に直結) |
駐車場 | あり 1,800台(4時間まで30分につき300円) |
営業時間 | 8:30~21:00(最終入場20:00)※最新の情報をご確認ください。 |
定休日 | 年中無休 |
予約 | あり 公式サイトまたはコンビニにて入場チケットを購入。※最新の情報をご確認ください。 |
ダンゴウオの仲間は越前松島水族館などで見られる
ダンゴウオの仲間であるコンペイトウとフウセンウオは国内のさまざまな水族館で展示されています。コンペイトウは福井県にある越前松島水族館や三重県の鳥羽水族館、フウセンウオは北海道のおたる水族館や、新江ノ島水族館などが有名です。
ダンゴウオが展示されている水族館は限られますが、ダンゴウオの仲間も含めれば少し見るハードルは下がります。
住所 | 〒913-0065 福井県坂井市三国町崎74-2-3 |
---|---|
公式サイトURL | https://www.echizen-aquarium.com/ |
電話番号 | 0776-81-2700 |
アクセス | 北陸自動車道「金津」I.C.より 東尋坊方面に約20分JR「芦原」駅からバスで約30分 |
駐車場 | あり 450台(無料) |
営業時間 | 9:00~17:30※GW・夏季・冬季は変則的(最終入館は閉館30分前) |
定休日 | 年中無休※悪天候や災害などによる臨時休館あり |
ダンゴウオはちっちゃくてかわいい魚!
ダンゴウオは丸くて小さな魚で、マスコットのような見た目やカラフルな色、変わった泳ぎ方がかわいい生き物です。生態も興味深く、泳ぎがうまくないので、おなかにある吸盤で岩や海藻に貼りついてじっとしています。
ダンゴウオは冷たい海に生息していて日本の近海では青森県~三重県の太平洋岸に分布し、浅場で観察できるのは冬~春だけです。
出典:写真AC