雨が海釣りに及ぼす影響
雨が海釣りに及ぼす影響は、釣果アップにつながるよい影響もあれば釣行のリスクが増すなどの悪い影響もあります。雨は魚の活性を上げるなど釣りにとってはよい変化をもたらす一方で、釣り人にとっては行動が制限される要因となるからです。
雨が海釣り及ぼす影響を知っておくと、好釣果を得られたり危険のリスクを軽減したりできるので理解を深めましょう。
好影響①:溶存酸素量が増え活性が上がる
雨が降ると海水中の溶存酸素量が増えてプランクトンなどの活性が上がり、連鎖的に魚の活性も上がります。雨の日に溶存酸素量が増えるのは海面を打ち付ける雨や、波が立つことによりできる気泡が酸素を含むためです。
魚は酸素濃度の高い領域を好むため、海面近くの溶存酸素量が増えれば、普段より浅い場所に浮くことにもつながります。
好影響②:打ちつける雨が警戒心を弱める
雨の日は海面を打ちつける雨の音や波紋の影響で、魚が鳥や人などの外敵を認識しづらくなり警戒心が弱まります。雨の日では人が暗さや濁りで海中の様子が認識しづらくなるのと同じで、魚も海中から外の様子が認識しづらくなります。
普段警戒心が強くなかなか釣れない魚も、警戒心の弱まる雨の日には釣れるということもあるでしょう。
好影響③:釣り人が減り釣果が上がりやすい
雨の日は釣り人が減るので、釣果が上がりやすくなるというメリットもあります。釣り人が少なければポイントの競争率が下がったり、魚の警戒心が弱まったりするからです。
周囲に気を使うことも減るので釣りがしやすくなり、ポイント移動も自由にできます。ルアー釣りでこまめに移動しながら、釣れるポイントを探ってみるのもよいでしょう。
悪影響①:体や道具が濡れて釣りにくい
雨が及ぼす悪影響として避けられないのが、体や道具が濡れて釣りにくくなることです。着ているものが濡れれば水分の重みや、肌に張り付くことで動きにくくなります。ラインや仕掛けも濡れることで操作しづらくなり、キャストやアタリをとることが簡単ではありません。
普段通りに動けなくて生じる釣りにくさは精神的に影響してきますので、ウェアや道具の防水対策はしっかり行いましょう。
悪影響②:視界不良により危険性が高くなる
雨の日は晴れの日に比べて暗く、水滴の影響もあり視界不良で危険性が高くなるので注意が必要です。足元が確認しづらくなり転倒や転落したり、道具や仕掛けが見づらく思わぬ怪我をしたりする危険性も高まります。良好な視界を保つために、ライトを活用したりメガネやサングラスには防水や曇り止めを施したりしましょう。
悪影響③:滑りやすく行ける場所が限られる
雨の日は普段以上に滑りやすく危険な場所が多いため、釣りに行ける場所は限られます。磯場やテトラポットは特に危険ですが、足場のよい堤防や漁港でも海藻が生えている場所などは避けましょう。
滑りやすい場所を見分けるポイントは、コンクリートが濡れて黒く変色しているかいないかです。黒く変色している場所は海藻が生えている可能性が高いので、特に注意する必要があります。
雨の日の海釣りの注意点
雨の日の海釣りでは、天候の急変・道具やエサの防水対策・体調管理に注意が必要です。雨の日のリスク対策をしなければ、釣りにくさが増すだけでなく思わぬ事故や体調悪化につながる恐れがあるからです。釣り場に到着してからでは効率が下がるので、釣行の前にしっかりと準備しておくことをおすすめします。
注意点①:天候の急変に備える
雨の日は波風が強まったり、雷が鳴ったりと天候が急変する可能性が高いので注意しなくてはいけません。持ち物を最小限に抑えることや、避難場所を決めておくが大切です。事前に備えておけば、避難が遅れて事故につながるなどのリスクを軽減できます。
雨の日は避難が難しい場所での釣りは避け、天候や海の変化には常に気を配りましょう。
注意点②:道具やエサの防水対策をする
雨の日は道具やエサを濡らさずに釣りをするのは難しいですが、できる限りの防水対策をしましょう。道具は長時間濡れていると劣化したり、エサは濡れてしまうと使い物にならなくなってしまうため注意が必要です。
道具は必要最低限のものだけを持っていき、エサには蓋つきのエサ箱やバッカンを使用しましょう。濡れてしまった道具は帰ってから水分を拭き取るなど、メンテナンスが必要です。
注意点③:体調管理を徹底する
雨の日は晴れの日に比べ気温が低く、濡れることで体温が低下するため体調管理に注意しましょう。体温が低下すると免疫力が下がり、風邪を引きやすくなったり体調を崩す原因となったりします。体が濡れて体温が低下した時は、体温調整のために休憩をとり体を温めることが効果的です。
多少の雨でも防水性の高いウェアを着用し、着替えやタオルを多めに用意して行くことおすすめします。
雨の日でも釣果が上がりやすい場所
雨の日でも釣果が上がりやすい場所は、雨以外の天候で釣果が上がりやすい場所と基本的には変わりません。普段からよく釣れる管理釣り場・堤防・漁港などは、単純に人が減り釣果が伸ばしやすくなる雨の日が狙い目です。競争率の高い人気ポイントでも、雨の日であれば簡単に釣り座を確保できることもあるでしょう。
管理釣り場:釣り人が減り釣りがしやすい
雨の日の管理釣り場は釣り人が減ることで、釣りがしやすくなり、魚の警戒心が弱まるため釣果が上がりやすくなります。空いている状況であれば2本以上の竿を出して、違った釣り方で狙うターゲットを増やしてみましょう。
雨の日の管理釣り場では、サビキ釣りやウキ釣りで浅場の小魚を狙い、泳がせ釣りや投げ釣りで深場の大物を狙うがおすすめです。
堤防:回遊魚が狙いやすくなる
雨の日の堤防では、回遊魚をターゲットとしたサビキ釣りでの釣果が上がりやすくなります。晴れの日は警戒して岸から遠い場所を回遊する魚が、雨の日は警戒心が弱まり岸の近くを回遊する可能性が高まるからです。普段は投げサビキをしなければ釣れない堤防でも、雨の日であれば足元でも釣れやすくなります。
漁港:潮通しがよく雨の効果も高まる
漁港は潮通しがよいポイントが多く、晴れの日に比べ魚の活性がより上がる可能性がある場所です。雨の影響を受けて魚の活性は上がりますが、潮通しがよいことで効果が高まります。
雨の日は海水が濁り魚の警戒心も弱まるため、フカセ釣りで黒鯛など大型サイズの魚を狙うのがおすすめです。ただし、潮の流れが早すぎたりゴミが混ざるような濁り方をしている状況では、釣果は期待できません。
雨の日におすすめの釣り方
雨の日におすすめの釣り方は、サビキ釣り・フカセ釣り・ルアー釣りなどです。雨で活性が上がることに加え、魚が浮くことや警戒心が弱まるなどの効果が重なり、釣果が上がりやすくなります。雨の日は釣り方ごとに活かせるポイントを理解して、釣果アップを狙いましょう。
サビキ釣り:雨の影響を活かせる
雨の日のサビキ釣りは、ターゲットとなる回遊魚の活性が上がり、魚が浮く傾向にもあるため釣果が上がりやすくなります。いつもより浅いレンジを重点的に狙うことで、雨の影響をうまく利用できるでしょう。
ただし、雨が降り続くと表層の塩分濃度が下がり、回遊魚は表層を避けて回遊するので釣れるレンジに狙いを変えましょう。
フカセ釣り:濁りが好条件
雨の影響で海水が濁ることは、フカセ釣りにとっては好条件となります。濁りの影響で魚の警戒心が下がり、ターゲットとなる魚や大型サイズの魚が狙いやすくなるからです。
フカセ釣りのコマセや付けエサは匂いで魚を寄せる効果が高いため、雨による多少の濁りは悪影響になりません。雨の日のフカセ釣りのコツは、エサを濡らさないことと、仕掛けは目立つものを選ぶことです。
ルアー釣り:持ち物が少ない
ルアー釣りは少ない持ち物で釣行が可能なため、雨の日におすすめの釣り方のひとつです。持ち物が少なければ、ポイントの移動や避難もスムーズにできるので、雨の日の釣行のリスクを軽減できます。
ルアー釣りは雨の日でもエサの管理の必要がなく、エサが残って無駄になることもありません。準備や後片付けにも時間がかからないので、雨の日に短時間で釣りをするのにもよいでしょう。
雨の日に釣果を上げるコツ
雨の日に釣果を上げるコツは、自分が見やすい色の仕掛けを選ぶことと、雨の降り方によって狙うレンジを変えることです。見やすい色の仕掛けを選ぶことで、視界不良の中でも仕掛けがセットしやすくなり、アタリもとりやすくなります。雨の降り方が弱いうちは浅いレンジを狙い、強くなれば深いレンジを狙うのがコツです。
仕掛けは目立つものを使用する
雨の日は視界不良のリスクを軽減するために、使用するラインやウキはできるだけ目立つ色のものを使用しましょう。普段より目立つ色の仕掛けを使用すれば、視界不良によるキャストのしずらさやアタリの取りにくさを軽減できます。
雨の日は釣り場で仕掛けをセットするのが難しいので、リールのライン交換などは釣行前に準備しておくことをおすすめします。
エサは濡らさず管理する
雨の日は集魚効果が下がって釣れるチャンスを逃さないために、エサは濡らさずに管理しなければなりません。雨に濡れると食わせエサであれば匂いが落ちて効果が薄れますし、コマセであれば使い物にならなくなります。
道具は拭けば済みますが、エサは1度濡れると取り返しがつかないので注意が必要です。エサを使用する際は素早く取り出し、使用しない時は蓋やカバーをしましょう。
ルアーはアピール性の高い色を選ぶ
雨の日のルアー釣りでは、アピール性の高い色のワームやジグを使用するのが釣果を上げるコツです。海水の濁りは魚の目によるエサの認識力も低下させるため、派手な色のルアーで魚にアピールする必要があります。
いつもよりリトリーブアクションも大きめにしたり、ルアーに集魚材を使用したりすればより効果が高まるでしょう。
ルアーで表層から中層を狙う
雨の日のルアー釣りでは、表層から中層の浅いレンジを狙うことが釣果を上げるコツです。雨の日は低気圧の影響で晴れの日より魚が浮く傾向にあり、普段より浅いレンジでも釣れる可能性が高まります。浅いレンジを狙う際は、なるべく軽めのルアーを選択するとよいでしょう。
雨が強く降り続き表層の塩分濃度が下がると、魚は表層を避けるため、狙いを深いレンジに変える必要があります。
雨の日でも海釣りは楽しめる
雨が海釣りに及ぼす影響はさまざまですが、「雨の日でも釣れる場所」で「雨の日にあった釣り方」をすれば十分に楽しめます。雨による好影響を受けコツをプラスすれば、晴れの日より釣果を上げることも可能です。雨の日でもモチベーションを下げずに、しっかりと安全・防水対策をして海釣りを楽しみましょう。