どんな釣り糸の結び方があるの?
釣り糸の結び方は大きく分けて、スナップやサルカンなどの金具とつなぐ、釣り針とつなぐ、2つの釣り糸をつなぐ結び方の3つです。全ての結び方にはメリットとデメリットがあるため、状況にあわせて使い分ける必要があります。
重要なポイントやコツをおさえることでよりスムーズに強い結びを実現できますので1つ1つ覚えていきましょう。
スナップやサルカンへの結び方
まず初心者の人がはじめに覚えたいのは、スナップやサルカンへの結び方です。餌釣りからルアー釣りまで、海水や淡水を問わず多用しますので、いくつか覚えると最適なシーンごとに使い分けられます。釣りを始める上で最も重要な結び方となるので必ず覚えましょう。
クリンチノット
- 糸の先端を接続したいアイ(ルアーや仕掛けについている金具の輪)に通し折り返す
- 折り返した糸を本線部分に巻きつける
- 巻きつけた糸の先端を本線部分と折り返し部分の間のループに通す
- 本線を引っ張って締める
- 残った端糸を切り離して完成
クリンチノットはサルカン結びとも呼ばれており、スナップやサルカンのような金具への接続に向いています。おもりやルアーへ直接つなぐときにも使える非常に簡単で汎用性のある結び方です。釣り場でも素早く結べて便利なため、初心者の人は必ず覚えましょう。
最後の締め込みを念入りに
クリンチノットは最後の締め込みが最も大事なポイントです。ループに通した糸の先端を持ちながら、本線をしっかりと締め込みましょう。締め込んだあとは、できた結び目を親指でアイ側にスライドするように寄せるとより強度が上がります。
太い釣り糸には向かない
クリンチノットは硬くクセのある太い糸を使う釣りには向きません。太い糸だと最後の締め込みで金具やアイとの間にどうしても隙間ができてしまい、簡単にすっぽ抜けてしまいます。ナイロン、フロロカーボン共に8号(30lb前後)までが最適な糸の太さです。
ダブルクリンチノット
- アイに糸を2回通す
- 通した糸を本線に巻きつける
- 最初にできた2つのループに端糸を通す
- 本線を引っ張って締め込む
- 残った端糸を切り離して完成
ダブルクリンチノットは、最初に2回糸を通すためクリンチノットより強い強度が出せます。しかし、太い糸を使用すると結び目に隙間ができやすいので注意が必要です。使う糸はクリンチノットと同様に、ナイロン、フロロカーボン共に8号(30lb前後)までにしましょう。
本線と端線を平行に引っ張る
締め込む際は本線と端糸を平行に引っ張ることで、より高い強度で締め込めます。平行に引っ張りあわないと、スナップやサルカンなどの金具が糸に対して真っすぐ向きません。仕掛けやルアーの動きに影響するなどのデメリットもあるので注意が必要です。
巻き付け回数は多すぎると逆効果
巻きつけ回数を多くし過ぎると強度は上がりますが、締め込みに失敗する可能性が高いです。糸にヨレができたり、スナップなどの金具に接続したルアーの動きを妨げるデメリットもあるため3~4回を目安に巻きましょう。
ユニノット
- アイに通した糸を折り返してループを作る
- 端糸をループに通しながら本線に4~5回巻きつける
- 本線を引っ張って締め込む
- 残った端糸を切り離して完成
ユニノットは比較的簡単に結べるうえ、すっぽ抜けが少ないので初心者の方に人気の結び方です。一度結んでも自由自在に結び目を広げたり締めたりできる便利な結び方なので、リールに糸を巻くときにも使われることが多いです。
結び目を濡らすと強度UP
ユニノットは作った結び目をアイ側にスライドさせていくため、摩擦熱が起こりやすいです。摩擦熱が起こると結び目が傷ついてしまい思わぬ糸切れに繋がるほか、糸のコーティングが剥がれて飛距離の低下にも繋がります。必ず結び目を湿らせてからゆっくりと締め込むようにしましょう。
端糸が短いとすっぽ抜けの原因に
ユニノットは最後の締め込みのときに端糸がやや結び目に近づくのが正しく締め込めている証拠です。しかし、余分な端糸をカットしすぎるとすっぽ抜けを起こします。しっかりと安定した強度を出せるように端糸は1cmほど残しましょう。
釣り針への結び方
次に覚えたいのは、釣り針への結び方です。市販の仕掛けではなく、自分で一から仕掛けを作りたい人は必ず覚えましょう。使う針の大きさや種類、糸の太さなどによって結び方が変わってくるので、いろいろなシーンに対応できるようにそれぞれ適切な結び方を覚えましょう。
漁師結び(完全結び)
- 糸を先端から10~15cmあたりで折り返して二重にする
- 二重にした糸の先端をアイに通す
- 本線と二重にした糸を束ね両線に一緒に端糸を巻く
- 端糸をループに通して本線を締め込む
- 残った端糸を切り離して完成
漁師結びは完全結びとも言われており、漁師さんが昔から使っているほど海釣りでは信頼されている結び方です。釣り針との接続以外にも、スナップやサルカンなどの金具とつなぐときにも向いているので覚えておくと幅広い釣りで使えます。
結び目の綺麗さにこだわる
漁師結びの最大のポイントは結び目の綺麗さを保って締め込むことです。締め込んだ時に巻きつけた糸が他の糸と重なると、結び目に隙間や強度の差が生まれてすっぽ抜けが起こります。隣の糸との間隔を詰めながら重ならないように締め込みましょう。
ループに通した端糸は引っ張りすぎない
ループに通した端糸を引っ張りすぎると、本線を締め込んだときに上手く締め込めなかったり、コブの形が歪になることがあります。十分な強度で結ばれていないため釣りをしている間にすっぽ抜けてしまいます。端糸は7割ほどの力で締め込み、本線で確実に締め込みましょう。
外掛け結び
- 本線を針に添えて本線の先端を折り返してループを作る
- 端糸を針の軸に巻く
- 端糸の先端を折り返してできたループに通し本線を締め込む
- 結び目ができたら端糸側も引っ張り強く締め込む
- 残った端糸を切り離して完成
外掛け結びは、カン(針の輪)がない針に結ぶときに使う結び方です。比較的簡単に結べるうえに強度も強いので初心者からベテランの人までに人気の結び方です。オリジナルの仕掛けやお店には売ってない仕掛けを自分で作りたい人は必ず覚えましょう。
巻き付け回数は針とハリスのサイズで決める
巻きつけ回数は基本的に5回前後ですが、1か所で結んでいるため針とのバランスが大切です。太い針と太い糸を組みあわるときは巻きつけ回数を5回より少なくします。細い針と細い糸を組みあわせるときは巻きつけ回数を5回より多くするとバランスがとれて強度も上がります。
釣り糸が軸の内側に来ないと強度DOWN
ハリスの本線が針の軸の内側にないと、締め込んだときに針とハリスのバランスが崩れ、釣り糸にヨレが出ます。不安定な針の向きは魚に違和感を与えてしまい釣果を下げる原因です。細かい部分ですが、大事なポイントなので魚に見切られないようにハリスの本線は必ず針の軸の内側になるようにしましょう。
内掛け結び
- 本線を針の内側に添えて5cmほどで折り返してループを作る
- 端糸をループに通し針の軸と本線に一緒に巻きつける
- 5回ほど通して巻きつけたら本線を締め込む
- 端糸側も強く締め込む
- 残った端糸を切り離して完成
内掛け結びも外掛け結び同様、初心者の方でも比較的簡単に結べて安定した強度を出せます。外掛け結びよりも細糸を使う釣りに向いており、海でのヘチ釣りや延べ竿を使った脈釣りに向いています。しかし、太い釣り糸は隙間ができやすくすっぽ抜けの原因になるので、使う際は念入りに締め込みを行うようにしましょう。
輪っかを大きめにしておくとやりやすい
内掛け結びは、ループの中に端糸を通しながら巻きつけていくため少々器用さが必要です。スムーズに行わないと途中で巻きつけた部分が緩んでしまい、綺麗なコブができずにすっぽ抜けを起こします。初心者の慣れないうちは糸の消費量が多いですが、ループを大きめにしておくと結びやすく強度も上がりやすいです。
ハリスのテンションをぬくとすっぽ抜けの原因に
ほかの結び方にも言えることですが、ハリスの本線を引っ張った状態で作業をすると綺麗なコブを作りやすいです。本線を引っ張ることで糸にテンションがかかるので、強度も上がります。指と指の間の根本で挟みながら引っ張ると上手く結びやすいです。
釣り糸と釣り糸の結び方
最後に覚えたいのは、釣り糸と釣り糸の結び方です。海のルアー釣りではショックリーダーとPEラインをつなぐほか、同じ素材の太さが違う糸をつなぐときがあります。これからルアー釣りを始めたい人や釣りの幅を広げたい人もしっかりと覚えましょう。
電車結び
- 2つの糸を重ねて持つ
- 片方の糸でループを作り糸の先端をループの中に通して軽く締め込む
- もう一方の糸も2と同じ要領で行う
- 両方の糸を引っ張り2つの結び目をあわせて締め込む
- 残った端糸を切り離して完成
電車結びは簡単に結べる上、強度もあるのでとても人気の結び方です。海での細いPEラインを使ったライトゲームやヘチ釣りの本線とハリスを結ぶときに向いています。リールの下糸とメインラインをつなぐときにも使うので必ず覚えましょう。
結びコブはなるべく小さく
電車結びは2つのユニノットをつなぐので、結び目が少し大きいです。巻きつける回数を最小限に抑えつつ、最後の締め込みを確実にしないと釣り竿のガイドに引っ掛かりトラブルが起こります。巻きつける回数は多くても4回とし、締め込みも確実に行いましょう。
太糸には向かないので注意
太糸は比重もあるため、クセが強く電車結びにはあまり向きません。ナイロンやフロロカーボンを使って電車結びをするときは3号までとし、3号以上の糸を使用するときはサルカンなどの金具を使いましょう。PEラインの場合は1.0号以下を目安に使用すると結び目を小さく保てます。
FGノット
- PEラインをリーダーの上に重ねる
- 交差部分を親指と人差し指で押さえながらPEラインの手前からリーダーを通す
- PEラインの奥からリーダーを通す
- 2と3の手順を10~15回繰り返す
- ハーフヒッチをPEラインとリーダーの端糸にかける
- PEラインの端糸をテンションをかけながら口で固定し2つの糸の本線をゆっくり締め込む
- ハーフヒッチをPEラインの本線とリーダーの端糸にPEラインの端糸でかける
- ハーフヒッチをPEラインの本線のみにかける
- 残った端糸を切り離して完成
FGノットはPEラインとショックリーダーをつなぐルアー釣りでは人気の結び方です。強度も強く結び目が小さいため、ガイドトラブルが起きにくい点から、キャスティングゲームには非常に向いています。これから海でのルアー釣りを始める初心者の方は必ず覚えましょう。
編み込みは密に
FGノットは、結び目に隙間を作るとPEラインの摩擦力がリーダーの1ヶ所にかからず、強度が落ちてしまいます。編み込みの際は必ず隣の巻き付けた糸と次の糸が密接するようにすると強度が出ます。結び目は、連続で使用すると海水による塩害で徐々に強度が落ちてくるので、必ず釣行毎に結び直しましょう。
PEラインを緩めるとすっぽ抜けの原因に
PEラインを緩んだまま編み込みをすると、リーダーとPEラインの間に隙間ができるため、すっぽ抜けを起こします。一定のテンションを保って編み込むことで十分な摩擦力を得れるので、必ずPEラインを張りながら編み込みましょう。
SCノット
- PEラインを折り返してリーダーに重ねる
- PEラインを20~30回ほどリーダーに巻きつける
- リーダーの端糸をPEラインを折り返してできたループに通す
- リーダーの端糸をテンションをかけながら咥えPEラインとリーダーを締め込む
- 残った端糸を切り離して完成
SCノットはFGノットに比べて少し結び目が大きいですが、手順もFGノットより簡単で強い強度が出せる点が魅力です。釣り場でもすぐに結べるので、海でのルアー釣り初心者の方にもおすすめです。
残す輪っかの長さが重要
SCノットは、残ったループを折り返した長さが結び目の長さと等しいときに最も強度が出ます。ループの長さと結び目の長さを均等にするには、最初の段階で折り返すPEラインの長さと巻きつける回数がポイントです。何度か練習して、PEラインの太さと長さのバランスを調整してから結びましょう。
太い釣り糸は巻きつけすぎに注意
SCノットは結び目が少し大きくなるため、太い釣り糸を使用するときは巻きつける回数に注意する必要があります。PEライン0.4~1.0号は30回、1.2~2.0号は25回、3号以上は20回を目安に巻きましょう。
信頼できる釣り糸の結び方を覚えよう!
釣り糸の結び方にはたくさんの種類があり、それぞれの特徴があります。いろいろな結び方を覚えることで魚とのファイト、ルアーや仕掛けのフルキャストも安心して行えます。釣りをもっと楽しみ釣果に結び付けるためにも、結び方は必ず正確に覚えましょう。
出典:photo-AC