カサゴとは?
カサゴはカサゴ目フサカサゴ科に属す魚類を指し、大きなものでは30cm程に成長します。大きな頭部には鋭いトゲがあり、その他にも背びれ、しりびれ鰭にトゲがあります。刺さるとひどく痛むため要注意。体色は一般的に茶色にまだら模様が入ることが多いです。個体差が大きく、赤みが強いもの、暗褐色なものとバリエーションが豊富です。よく似た魚にメバルがいますが、メバルに比べて眼が小さく口が大きい点で見分けられます。
食性について
カサゴは肉食性で小型魚類、エビやカニなどの甲殻類、ゴカイ類を捕食します。中でも甲殻類を積極的に捕食するケースが多く報告されています。獲物を追いかけるタイプではなく、岩などの障害物に身を潜め近付いた獲物を捕食する待ち伏せタイプ。時折、中層を泳ぐ小魚を狙って浮上することはありますが、捕食するとすぐさま海底に戻っていきます。
カサゴの生息地と生息環境
カサゴの生息地は幅広く、国内では北海道南部以南から沖縄、国外においては朝鮮半島やフィリピンにまでおよびます。水深およそ2~30m程の浅い場所に生息します。基本的に岩礁帯やテトラ帯など障害物に身を潜めており、表層や中層を泳ぐことは滅多にありません。なぜなら、ゴツゴツとした見た目と模様が岩にそっくりということもあって、外敵の目を欺けるからです。また、好物のエビや小魚に警戒されないというメリットもあります。
カサゴの生態
カサゴが針にかかってぶら下がっている姿を目にする機会はあっても、水中で彼らを観察する機会は滅多にないのではないでしょうか。そんなあまり周知されていないカサゴの生態をご紹介します。
行動範囲が狭い
カサゴは積極的に移動する魚ではありません。形態からも想像できますが、遊泳力が高くないため一度居着いた場所から広範囲に移動することはまれです。そのため、同じ場所で多数の個体を長期間にわたって採捕してしまうと、元の個体数に戻るまで相当な時間がかかってしまいます。資源量の管理として、もし多数のカサゴを釣ったとしても必要最低限だけ持ち帰るようにしましょう。
活動する時間帯
カサゴは夜、活発にエサを捕食することで有名です。しかしながら、昼間に活動することも少なくはありません。昼間は外敵に見つかりやすいため、障害物の奥深い場所に潜みエサを待ちます。そのため目にする、もしくは釣れる機会は少なくなります。一方で夜は外敵に襲われる危険性も減り昼間よりも開けた場所に現れるため、釣りやすく姿を見れる機会も増えます。
繁殖方法
カサゴの繁殖期は冬です。秋に交尾した数か月後に卵ではなく仔魚を産みます。これは「卵胎生」と言って体内である程度の大きさまで成長させることによって仔魚の生存率を高めているのです。また、個体によっては複数回産仔することもあります。これは時期をずらすことによって環境の変化(急激な水温の上昇や低下など)が起こった場合に生き残る確率を高めるための繁殖戦略と言えます。
カサゴの種類
カサゴにはさまざまな種類が存在します。大きさや見た目はもちろん、生息環境、味などが異なり、カサゴと名の付くものの言われないとわからないものも。今回は数ある種類の中から目にする機会の多い4種をご紹介します。
イソカサゴ
体長10cm程の小柄なカサゴです。沿岸帯の岩礁帯や潮だまりに生息します。珍しい種ではなく磯遊びをしていて見かけることも少なくありません。えらぶたの後方にある瞳程の暗色斑が見分けるポイントとなります。各所にあるトゲには毒があるので、触れる際には注意しましょう。
ミノカサゴ
赤白の縞模様と長く伸長したひれが特徴的で、大きいものは30cm程になります。沿岸域に生息し、美しい見た目とは裏腹にひれに強い毒を持っています。刺されると激痛に加えて、ひどい場合は目まいや吐き気を引き起こすこともあります。危険な一面もありますが、その煌びやかな容姿から観賞魚としても人気があります。
ウッカリカサゴ
通常のカサゴよりも深い30~100m程の水深に生息します。カサゴとよく似ていますが白斑に縁取りがある点が特徴。大きいものでは50cmを超え、カサゴとしては大型の種類です。ジギングやタイラバなど、船釣りをしていると時折釣れることがあります。味もよく、大きさも充分で食べ応えがあり食用魚として人気が高いです。
オニカサゴ
50cmを超える大型のカサゴです。ひれの各所に毒針を持っており、扱いには細心の注意が必要となります。危険な面もありますがとても食味がよく、高級魚として人気が高いです。その味を求めて釣りの対象とする人も少なくありません。
カサゴの地方名について
カサゴには地方名がいくつか存在します。カサゴという名に親しみがない人も地方名であればピンとくるのではないでしょうか。カサゴは関西では「ガシラ」と呼ばれることが一般的です。また、山陰地方では「ボッカ」、岡山では「アカメバル」、九州の宮崎では「ホゴ」、長崎や熊本などでは「アラカブ」と呼ばれます。このように多くの地方名があることからもカサゴが全国的に親しまれていることがわかります。
釣りの対象魚“カサゴ”
カサゴは釣りの対象として人気が高い魚です。エサ釣り、ルアー釣り問わず狙うことができるうえ、高価なタックルや難しい技術は一切必要ありません。岩礁帯やテトラ帯をのボトムを意識して攻めると簡単に釣ることができます。さらに、シーズン問わず釣れることも人気の一つです。なにも釣りものがないと嘆く冬ですら果敢にバイトするカサゴは釣り人にとって癒しの存在と言えるでしょう。また、食べても美味しいので釣った後も楽しみが待っています。
カサゴは食べても美味しい!
カサゴは白身魚でクセのない淡泊な味をしています。それでいて脂ものっていて旨味も感じられる大変美味しい魚です。新鮮なものはしっかりとした歯ごたえを感じられ、少し寝かせて熟成させると旨味の増したしっとりとした食感を楽しむことができます。その味には定評があり、和食だけでなく洋食など幅広いジャンルに用いられることも珍しくはありません。そんな味に申し分のないカサゴの旬の時期とおすすめのカサゴ料理をご紹介します。
カサゴの旬は?
カサゴの旬に関しては諸説あります。12~2月の初春、はたまた初夏~冬という説。明言することはできませんが、割合では初春が多いようです。これは言い換えれば“季節による味の変化が少ない”とも言えるので、旬に関わらず美味しくいただくことができます。
おすすめのカサゴ料理
カサゴの煮つけ
カサゴ料理と言ったら煮つけは外せません。カサゴのうまみと濃い目の味付けが相まって本当に絶品です。熱を加えることで身がギュッと引き締まり、しっかりとした食感を楽しむことができます。捌く手間も少なく丸ごと食べられるといったメリットもあります。
カサゴの刺身
カサゴは頭が大きく3枚にさばくと可食部が少なくなってしまいますが、それを補って余りある魅力を持つ調理法が“刺身”です。万人受けするクセのない味、コリコリとした食感と繊細なうまみは格別。余った頭やアラは潮汁やみそ汁にするとよい出汁が出るのでおすすめです。
カサゴの唐揚げ
カサゴは唐揚げにしてもとても美味しい魚です。小ぶりな大きさのものを揚げることで骨まで食べられます。ひれはパリパリと香ばしく、淡泊な身にジューシーさが加わり旨味が口の中に広がります。カサゴの旨味を丸ごと味わえる調理法です。
まとめ
カサゴは釣りのターゲットとして人気があり、簡単に釣ることができる親しみやすい魚です。食性や生息環境など、その魚に関する知識が釣果に影響することは珍しくありません。これを機にカサゴに興味を持ち、釣りたいと思う人が増えれば幸いです。味も申し分ないので食卓に並んでも喜ばれますよ。
出典:ライター撮影