タチウオテンヤとは?
タチウオテンヤとはタチウオを「テンヤ」と呼ばれる仕掛けで釣る方法です。通常の仕掛けは、針とおもりが別々に糸についていますが、テンヤはおもりと長めの針が一体型になっており、針金で餌のイワシを固定して使います。非常にシンプルな仕掛けながら「誘い」「合わせ」など、奥深い要素が多くとても人気が高い釣り方です。
タチウオはどんな魚?
タチウオの特徴
タチウオはタチウオ科タチウオ属の魚で、銀色に輝く長い胴体が印象的です。平均して1メートル程度の長さですが、中にはドラゴン級と呼ばれる2メートル越えの大物も存在します。口には鋭い歯が何本も生えていますので、リーダーも切れにくい太目のものが選ばれます。取り込み後にタチウオを針から外す際も十分注意が必要です。
タチウオはどこにいる?
タチウオは北海道から沖縄まで幅広く生息しています。時期的には夏から秋にかけてが狙い目シーズンですが、大物狙いの方は秋から冬にかけてがチャンスです。釣り場は選びますが、釣船でも岸釣りでも両方楽しめるうれしい魚です。基本的に深いところに生息する特性を持っています。
タチウオは美味しい?
タチウオは作り方しだいで様々なバリエーションを試せる魚です。刺身、てんぷら、焼き魚、煮つけなど、調理方法を選びません。味もあっさりとした白身で癖がありませんが、小骨が多いために調理時には注意が必要です。
タチウオテンヤのタックルは?
タチウオテンヤで使う竿
タチウオ専用の竿も数多く販売されていますので、それを購入するのも選択肢の一つです。基本的に船竿30号程度であまり長くない竿がタチウオテンヤには適しています。船釣の場合は船に備え付けの竿をレンタルできますので、初めての方も気軽に試して見る事が出来ます。
タチウオテンヤで使うリールは?
リールは小型の電動リールが一般的です。カウンタ付の両軸手巻きリールを使用する事も可能ですが、タチウオテンヤは基本的に水深の深いところを狙うため電動リールが一般化してきました。仕掛けのテンヤ自体の重さも40号で150グラム程度ありますので、上げ下げの多いタチウオテンヤではかなりの負担軽減につながります。特に、船釣りのようなポイント移動で素早く巻き取る必要がある場合に高い効果を発揮します。リールによってラインの最大糸巻量が違いますので、必ず確認することが必要です。
タチウオテンヤの仕掛けの作り方
PEライン
引張り強度に優れたPEラインはタチウオテンヤに欠かせません。深場に対応する必要がありますので、1.5号~2号の200m~300mが主流です。耐久性とキャスティング性能向上効果がある、専用のフッ素スプレーも販売されています。
リーダー
リーダーは8号~10号程度でタチウオの鋭い歯に効果が高い太目の物を使います。リーダーを結ぶ事により、PEラインがこすれて摩耗するリスク軽減効果も期待出来ます。
PEラインとリーダーの結び方は?
一般的にスナップサルカンでPEラインとリーダーを結びます。糸よれも少なく交換もスムーズに行うことが出来ます。ライン近くまで巻き込み過ぎると、サルカンを巻き込んでしまいガイドの破損につながる危険性がありますので注意が必要です。自然なテンヤのコントロールを行うためにあえてリーダーを介さず、直接PEラインにテンヤを結ぶ作り方もあります。
テンヤ
テンヤの重さは30号~50号が一般的です。形状は様々で蛍光色を中心に色とりどりです。針金で巻く必要が無いものもありますので、好みに応じて選ぶ楽しさも満喫できます。ロストしてしまう危険性がありますので、スペアの用意があると安心です。また、重さに関しては釣船によって統一されている事が多いので、事前に確認することが必要です。基本的にはリーダーに直接結びますが、スナップサルカンを使用するとテンヤの交換がスムーズに行えるメリットもあります。
その他
エサを巻く針金も、釣り専用の物が販売されています。仕掛けの作り方によって使用はお好みですが、集魚効果が期待できるケミカルライトもあります。ただし、使用を禁止にしている釣船もありますので事前に確認が必要です。
タチウオテンヤのエサの作り方は?
イワシ、サンマ、アジが主流です。釣船や地域、季節によって変わりますので、どれが一番というわけではありません。冷凍小イワシの形状はそのままテンヤに付けやすい事もあり、多くの釣船で使用されています。サンマやサバは多少の加工が必要です。作り方は3枚におろしたり切り身にするだけですので、状況に応じてエサを変えてみたり、作り方を工夫してみるのも有効な手段です。ただし、釣船によってはエサを統一している場合もありますので確認が必要です。
針金の巻き方のコツ
テンヤにエサの子イワシを取り付ける際は、針金でエサをしっかりテンヤに固定します。巻き方のコツは、エサの頭をテンヤの頭の方向を合わせて取り付た後、最初に頭部分にしっかり針金を巻く事です。胴体部分は針にからずれないよう気をつけて軽く巻いて、針の曲目で折り返して最後にもう一度頭に巻いて固定します。サンマやイワシの場合も基本的な針金の巻き方は同様です。
タチウオテンヤの釣り方とテクニック
基本的な釣り方
タチウオテンヤはタチウオを誘って釣る事が基本です。タチウオは深い深度にいる事が多いため、最深部まで仕掛けを沈めて底を取り、竿のしゃくりやリールの巻き上げを使って、タチウオを上の方に誘い出す釣り方です。船釣の際は、船長の合図でテンヤを底までおろして2メートル程度巻きあげ、そこから誘いをスタートします。
タチウオの誘い方のコツ
巻きあげられていくテンヤを、タチウオが下から見つけて追いかけていく図を想像して下さい。まずはタチウオにテンヤの存在を気づかせて上を向かせる事が第一関門であり、アタリがあるまで様々な工夫を試みるのがタチウオテンヤの醍醐味の一つとも言えます。この誘いで良い波に乗れるかが、その日の釣果に大きく影響する場合が多いのです。
一定速度でゆっくり巻いてみる(タダ巻き)
基本的なタチウオテンヤの誘いのテクニックです。リールの巻き方は、底を取った状態からゆっくり一定の速度で巻いていきます。
一定速度で速く巻いてみる
底を取った後、早目にリールを巻いてみます。速度に関しては個人差があるので中々難しいところですが、ゆっくり巻いた時と比べて変化をつけるのが目的です。タチウオの存在をイメージしながら行うと、より効果的です。
巻いて止める、巻いて止めるを繰り返す(ストップアンドゴー)
等間隔で巻いて止めるを繰り返す巻き方です。タチウオが底から誘い出され、テンヤが止まった瞬間に食いつくイメージです。「巻きを長めに止めを短く」「巻きを短く止めを長めに」などのバリエーションを組み合わせることも、効果的にタチウオを誘い出すテクニックの一つです。
シャクリ
素早く竿先を上げた後、リールを1,2周回して緩んだ分を巻き戻す巻き方を行います。リズミカルな素早い巻き方でタチウオを誘います。上級者は自分流の手法を持っている方も多く、釣人の個性が光るテクニックです。
釣れている仲間の釣り方を良く観察する
仲間は釣れているのに自身の釣果が悪い時に効果的です。釣れている仲間はその日の状況にあった誘いをしているはずです。他の人の釣り方を観察する事は、自身のテクニックの向上にもつながります。
タチウオテンヤの合わせ方①
タチウオのアタリは様々なパターンがありますが、「コツコツ」と様子見のようなアタリから始まる事が多くあります。しかしながら小さなアタリで合わせても、中々釣りあげる事は難しい魚と言えます。というのも、テンヤの形状的に針ごとタチウオが食いつくのは少ないケースなのです。良い釣果を目指すには、誘い出されたタチウオが「コツコツ」と様子を見た後、テンヤに深く食いついた瞬間に合わせるテクニックが必要です。
タチウオテンヤの合わせ方②
細かいアタリが続いた後、竿先が深く沈むような大きなアタリがあった瞬間、竿先を素早くあげて合わせます。強く引っ掛けるイメージです。また、タチウオ特有のアタリとして、強い感触があったにも関わらず急に糸が緩む場合もあります。これは、タチウオがテンヤを咥えたままで水面の方に素早く上昇してくるために起こる現象です。慣れてくるとこのアタリに合わせるテクニックが身に付き、さらなる釣果のアップにつながります。
タチウオテンヤの取り込み
取り込みの際は急ぎ過ぎないのがコツです。糸を緩ませないようにテンションに気を配りながら、電動リールの速度も少し抑え目で巻き上げます。急に全力で巻き上げるとバレる原因になるからです。タチウオ自らが水面の方に上がってきている場合には糸が緩んでしまうので、その場合は素早く巻き上げてテンションを一定に保ちましょう。
取り込み時の注意点
タチウオごと勢いよく船上に引き抜いてしまうと、周囲に迷惑をかける恐れがある上に、テンヤが機材や人に当たってしまう恐れがあります。必ず適度な位置でラインを手で持って引き上げるよう、注意が必要です。また、タチウオの歯はとても鋭いため細心の注意を払いながら針を外す必要があります。フイッシュグリップ等を使用するとより安全です。
タチウオテンヤの狙い時と釣り場
タチウオテンヤの狙い時期
タチウオが狙える時期は地域により多少ずれがあるものの、船釣で「6月~12月」陸釣で「8月~11月」の期間です。陸釣に関しては、タチウオのエサとなるカタクチイワシの接岸時期によって誤差が生じますので情報収集が肝となります。
6月~7月
船釣りの釣れ始めです。地域とタイミング次第では釣果にも期待出来ます。サイズ的には小さ目の事も多く、陸釣りはもう少し待つ必要があります。
8月~10月
陸釣りも始まります。船釣りと共に最盛期を迎え、もっとも釣果に期待できる時期です。
11月~12月
数釣りは厳しくなりますが、大型を狙うにはこの時期が絶好のチャンスとなります。
タチウオテンヤの釣りポイント
タチウオは全国的に生息していますので、多数の釣り場が存在します。大阪湾は早い時期から大変な盛り上がりを見せ、良い釣果も上がってくるために、有名な釣り場として釣りファンの間で認知されています。
船釣の釣場
相乗りの船釣の場合は、魚影探知機で魚影を探って移動してくれますので、自身で釣場を見極める必要はありません。より良い釣果を目指して釣りに専念する事が出来ます。しかしながら、船での最低限のマナーや使用して良い仕掛けの事前確認などは怠ってはいけません。集合時間等を厳守して、釣り人同士楽しい時間を共有出来る事が必要です。
陸の釣場
大きな漁港の堤防や桟橋等が釣場として多い傾向にあり、水深が深い事が条件になります。タチウオのエサとなるカタクチイワシの接岸と一緒にタチウオも接岸してきますので、その特色を踏まえた上で釣場を探すのも楽しみの一つと言えます。
出典:ライター撮影