タイコリールとは?
タイコリールとは、形が和太鼓に似ていることから、名付けられました。リールの種類や形式によって、わけられるのではなく、フォルムが和太鼓の形をしたリールを「タイコリール」と呼びます。
このリールは、クロダイ(チヌ)のヘチでの落とし込み釣りに用いられることが多いため、別名「落とし込みリール」とも呼ばれています。
特徴
中身は、簡単な構造です。糸の扱いがスムーズで、糸よれの影響がほとんどないという特徴があります。スプールが回った分だけ糸の出し入れができ、指で糸を抑えることで糸の出るスピードを調節可能。初心者でも簡単に操作することができるため、人気のリールとなっています。
筏リールとの違いは?
「落とし込みリール」と「筏リール」は、いずれも片軸のタイコ型リールです。外見が似ているため同じリールに見えますが、構造の上で2つ点に違いがあります。
ドラグの有無
リール内にドラグがある方が、筏リールです。タイコリールはスプールを指で押さえ、糸を調節します。筏リールはドラグと指の併用で糸出しを調節するため、付いているものが少し違います。
ギア比
ふたつ目の違いはギアの比率です。筏釣りは、団子で深い水深のタナまで仕掛けを落とす釣り方が人気で、魚が掛かってから回収作業を早められるように、ギア比が3対1に設定されています。
落とし込みリールは、水面から数メートルのタナでやり取りをするため、繊細な糸の調節をしやすいように、1対1のギア比になっています。
タイコリールの使い方:メリットは?
使い方のメリット:巻き癖が付きにくい
道糸をねじり、バガラを巻き取るスピニングリールは、カールコードのように螺旋状に巻きぐせがついて、余分に糸が出てしまいます。タイコリールの場合はスピニングとくらべ、スプール自体の径が大きめに作られているため、直線で巻き取ります。
巻き癖はつきますが、大きなフケが出ないのですぐに直るでしょう。縦方向に緩やかです。
糸フケをなくすには!
糸フケをなくすにはUガイドの竿と組み合わせるとよいでしょう。U字ガイドの竿と組み合わせると、仕掛けからリールまで一直線になるため障害がなくなります。
使い方のメリット:構造がシンプル
一般的なスピニングリールのように複雑なギアがなく、単に糸を巻き取るのみというシンプルな構造です。メンテナンス自体が簡単で壊れにくく、比較的軽量で初心者の方でも、釣りがしやすいというメリットがあります。ひたすらロッドを上下させながら仕掛けを落としていく釣り方でも疲れません。
指ドラグ
初心者には、ドラグ付きのタイコリールがおすすめです。基本的にタイコリールにはドラグがついていませんので、糸が自然に出ていきます。その糸を指で止める行為が、指ドラグと呼ばれています。
ドラグなしの方が安いのですが、ドラグ付きにすることが初心者の選び方のひとつの目安でしょう。
使い方のメリット:細かなライン操作が可能
ヘチ釣りや前打ち釣りでは、細かなライン操作が重要です。タイコリールは一度に巻き取る量が少ないので、細かいラインの出し入れが可能となっています。仕掛けが絡まる心配も無くなるでしょう。
価格が安い!
使い方ではありませんが、タイコリールはスピニングリールに比べると格段に安いので、購入しやすい点もメリットです。初心者でも手が出しやすい値段なので、まずは安いタイコリールから使い始めることをおすすめします。
使い方のメリット:初心者でもオーラを纏うことができる
タイコリールを持参すると、初心者でも一気にオーラを纏うことができます。タイコリールはヘチ釣りや落とし込み釣りを象徴するリールなので、防波堤でタイコリールを使うと、ほぼ間違いなくヘチ釣りか落とし込み釣りをしていると認識されるでしょう。釣りに慣れた感じを出すにはぴったりのリールです。
タイコリールの使い方:デメリットは?
使い方のデメリット:一度に巻き取れる量が少ない
タイコリールは一度に巻き取れる量が少ないので、大物サイズの魚がかかった時は、かなり早く巻かなければいけません。この早さはテクニックがいるため、慣れるのに時間がかかるでしょう。初心者が使う場合の選び方のポイントは、ギア比をしっかり見て購入することです。
使い方のデメリット:バックラッシュしやすい
ドラグ無しのリールの場合は、スプールを抑えている親指を離すとリールが自動で回転するため、どうしても不要な道糸が放出されます。スプール内で道糸が出過ぎてしまうと、バックラッシュになることが多いため、注意してください。
バックラッシュとは
スプールの中で糸が絡んでしまう現象が「バックラッシュ」です。タイコリールを使って落とし込み釣りをする際にも起こりやすいため、注意が必要です。仕掛けをスムーズに落とすため、スプールの回転が優れたものが多いのですが、強く糸を引っ張るとバックラッシュが起きてしまうでしょう。
使い方のデメリット:合わせ方にコツがいる
ブレーキのない落とし込みリールは、獲物に当たった際に竿を煽ってもスプール(糸巻部)が回転し、糸が出ていってしまいます。アワセる際はスプールが回らないように、指で押さえて竿を振ることが必要です。糸の放出が一瞬止まったり、放出する速さが変わるのを見逃さず、最初は軽くアワセを入れましょう。
人気の釣り場は「堤防」
ヘチ釣りのポイントは、堤防の際を狙うことです。東京湾などの関東の海では、沖堤防でないと釣り上げるのは厳しいのですが、クロダイの聖地と呼ばれるような堤防は大人気で、通年人が溢れかえっています。初心者は自宅の近くの漁港などから始めてみましょう。
落とし込みに適した時期
落とし込み釣りの人気がある期間は5~10月です。その期間内でも7~9月の3ヶ月は、トップシーズンと覚えましょう。貝や甲殻類の繁殖期であり、それをエサとするクロダイの地合もあがりやすくなるためです。初心者や年無しチヌ(クロダイ)を釣り上げたい方は、このシーズンを狙って釣果をあげましょう。
サイズが大きい年無しチヌとは?
年無しチヌとは、50センチを超える大型サイズのチヌのことです。50センチを超えているチヌは、何年生きているのかわからないため年無しチヌといわれています。ここまで大きくなるためには、およそ13年以上の年月が必要になりますので、数は少ないのですが釣り上げた時の喜びは計り知れません。
チヌ釣り用タイコリールの選び方は?
スプールの直径が大きいリールにしよう
チヌ釣り用のタイコリールの選び方として、スプールの直径に注目しましょう。市販のチヌ釣り用リールのスプウール直径は65~90ミリが基本です。
スプールの直径が大きいリールはスプール1回転あたりの糸の巻き取り量、ラインの放出量が多くなるので、仕掛けの投入時や黒鯛とのやりとりで操作性の良さが発揮され、道糸を長時間巻いたままでもヨレが発生しにくいというメリットがあります。
注意点:スプールの直径が大きいと重くなる
スプールの直径のサイズが大きくなると、自重は重くなります。1日竿を持ったまま移動を繰り返す釣りでは、重さがあるとデメリットでになるでしょう。短時間であれば、直径の大きいもので問題ありません。初心者は普通サイズで慣れておきましょう。
ドラグ付きを購入する
基本的にタイコリールには、クラッチ機能(ブレーキ)が装備されていません。スプール自体が両軸方向に回転する構造のため、クロダイがかかったら反転しないようにスプールを指でしっかり抑える必要があります。テクニックが必要なため、初心者や心配な方は、ドラグ付きを購入しましょう。
タイコリールおすすめ3選
さまざまな人気メーカーが発売するタイコリールの中から、人気モデルをご紹介します。ロッドとの距離が調節可能なモデルもありますので。予算やメーカーなどを確認して、選び方を参考に合うものを探しましょう。
【PROMARINE】ディスクブレーキが搭載!
このタイコリールはドラグ機能付きです。価格が安いため、初心者におすすめ。機能性も高く、左利きの方も使える点がうれしいポイントとなっています。
【PROMARINE】超軽量のマシンカットボディ!
このリールは、タイコリールの中でも軽量です。感覚としては、竿のみの重さしか感じない人もいますので、重たいリールが苦手な方におすすめです。大きなチヌを狙うには不向きですので、初心者用として考えましょう。
【Daiwa】3次元形状のスプールヘッジ!
注目して欲しいのが、デザイン性です。とてもシンプルなように見えますが、超繊細なアタリでも伝わるスプールになっています。指ドラグもやりやすい広さですので、初心者を脱却するきっかけになるリールでしょう。チヌ釣りに慣れた人にも人気があります。
チヌ釣りにおすすめな道具の選び方は?
竿の長さは、2.7メートル前後がベストです。極先調子で小さなマイクロガイドが付いた、落とし込み専用の竿を使うのがいいでしょう。道糸は視認性の高い蛍光色のナイロンラインの2~2.5号サイズがおすすめ。竿の使い方ですが、落とし込んだのち、30センチメートル前後を目安に仕掛けを上下させましょう。
仕掛け針はチヌバリがマスト!
極小サルカンを介して、ハリスに接続します。ハリスはフロロカーボン1.5号サイズを使用し、人ヒロ(80~100センチメートル)の長さを取りましょう。その先にチヌバリの4〜5号を付けます。チヌバリは、管付きがおすすめです。
初心者におすすめの落とし込み用のエサは?
時期によって、つけるエサに変化をつけましょう。春はカニやモエビ、フジツボ、亀の手の使用がおすすめです。梅雨の時期はクロダイの大好物である烏貝が堤防についていることが多いので、同じ烏貝がよいでしょう。
モエビ
モエビは、尻尾を外して腹まで沿うように差します。モエビ付近にガン玉をつけると身が外れやすくなるので、ハリ上10センチメートルほどの場所に噛ませましょう。生き餌なので価格は安いものではありませんが、一匹50円ほどで購入できます。
カニ系
カニを餌にする際は、生きたまま使うことが多いでしょう。そのまま落とし込むと地面に付着したり、穴に隠れてしまうことがあるので足の先端を切って使用します。
付け方はカニの腹(ふんどし)部分から甲羅にかけて差し込みます。甲羅が硬い場合が多いので、ピックなどで先に穴を開けてから使うとよいでしょう。1匹120円ほどで購入できます。
烏貝(カラスガイ)
クロダイの最盛期である6~9月は烏貝を使いましょう。付け方は、貝の蝶番側に針を差します。クロダイの歯の力は、貝を噛み砕くことができるので心配いりません。1個250円ほどで、購入すると高額ですが、時期によっては堤防で採集できます。サイズが小さいものを選んでください。
フジツボ
フジツボのように小さく硬いエサは、輪ゴムを巻きつけ、その輪ゴムにかませるように使いましょう。クロダイの餌釣りの中で一番安い、1個10円ほどです。さらに、堤防で通年採集することが可能。身がしっかりとしているものを選びましょう。
落とし込み専用のタイコリールで釣果をあげよう!
チヌの落とし込み釣りは、岸壁から落ちてくるカニや貝を狙う習性を利用する釣り方です。自然に落ちるエサを演出して、わずかなアタリをアワセ、釣果につなぐためにタイコリールで挑みましょう。落とし込みリールは、他のリールに比べて価格が安いので購入しやすい点がうれしいですね。
落とし込み専用のリールで黒鯛(チヌ)に挑んでみませんか。
出典:https://www.nyandaro.com/entry/abu-reel-rewind