メバルという魚
まずは、簡単にメバルという魚をご紹介しておきます。どのような魚か、基本的な生態などは理解しておいて損はありません。そこからタックルを選ぶヒントも沢山出てきます。
メバルの生態
メバルは、「目張」や「春告魚」と書きますが、目が大きいのが特徴です。また産卵前で最も釣れて、美味しいのが春です。春を感じさせてくれる魚との意味もあります。沿岸域の岩礁帯から内湾などを好みますが、水温の低下と共に岸へ接岸する習性があります。寒さを感じる頃がそれに当たり、港周辺へプランクトンを求めて集まってきます。丁度、産卵前の荒食い時期と重なるのです。
メバルの食性
産卵前に、体力を付ける為にエサを多く食べます。この時期が最も釣りやすいが、意外にも偏食も多いです。比較的、色々な物を食べるメバルですが、主食はプランクトンです。小型は特にその傾向が強く、大きくなれば甲殻類や小魚なども食べます。ただ、特定のエサを食べ出すと、他に見向きもしない事も多々あります。これが、メバルの難しい所であり、面白い所です。
メバルの好む場所
水温の高い時期は岸近くには少なく、水温が下がってくると徐々にプランクトンの多い岸周りに接岸してきます。中でもメバルが好む場所が、常夜灯などの明かりの周りです。港湾部のポイントとしては外せません。さらに、港のロープや船周りといった身を隠す事の出来る障害物周りや、産卵を意識しだすと産卵床となる藻場を好みます。小型ほど群れを成して集まる傾向も強いです。
メバルの種類
メバルにも種類があります。全てご紹介は出来ませんが、身近なメバルでも実は別種と分類され、アカメバル、シロメバル、クロメバルの3種が釣れます。簡単にではありますが、初めてでも判別できる写真を交えてご紹介しておきます。
アカメバル
体色が赤っぽい茶色で、どちらかと言うと小型の多いタイプ。内湾の浅い場所を好み、頭が小さくスリムな体型が特徴です。最もポピュラーで、数釣りしやすい種類。胸鰭軟条数が15本の個体が多く、浅い層に集まりやすい特徴もあります。
シロメバル
体色が白っぽい茶色で、大きくなるタイプです。30cm以上も多く、体高があり頭が大きい特徴を持ちます。アカメバル同様に内湾を好みますが、さらに岩礁帯を好むのも特徴です。胸鰭軟条数が17本の個体が多く、アカメバルと見分けがつきにくい個体が多いのも特徴です。表層から海底まで幅広い層にいます。
クロメバル
体色が黒っぽく、背中が青みがかっているタイプで、見た目からすぐにわかるタイプです。外海性が強く、湾内の奥になると少なくなります。また、回遊性の強いメバルで、頭が小さく体高のある体つきも特徴です。群れに当たると、いいサイズが数釣り出来きます。胸鰭軟条数は16本です。
メバリングタックルの基本
ルアーで狙うための、基本的なタックルを考えてみましょう。初心者が初めてタックルを探す時に、選び方には悩むと思います。ロッドやリール、ライン、そして最も大切なルアーまで、仕掛けを順にご説明していきます。
ライトタックルが主軸に
メバリングは、小型の魚をメインに狙います。そのため重いルアーを投げる事は極端に少ないです。逆に小さなルアー、軽い物を投げる事は非常に多いです。そのため、全体的に細い仕掛けがメインです。メバリング用として販売されているアイテムであれば、基本的には間違いないです。
メバリングタックルは繊細な釣りを可能に
軽いルアーをキャスト、そして操作するメバリングですが、それをしっかりとこなす為には、ロッドとラインの選び方には注意が必要です。お互いに適合範囲以内である事が前提ですが、より繊細に操作できるスペックが大切です。初めてのタックルの選び方としては、ルアーが1~5g主体になるので、それに合わせたロッドやラインを選びます。
タックルの主軸、初心者のメバリング用ロッド選び
ロッドの選び方からご説明していきます。初心者の方が初めて選ぶロッドとして、どの様な物が良いのか、ここでは考えてみます。ただし、釣り方や仕掛けによっては、本来であれば変更すべき部分もありますが、今回はあえて初めての一本の選び方としてお話していきます。
メバリングロッドの長さ
現在、メバリング用として販売されているロッドも、様々なタイプがあります。その中で悩むのが、ロッドの長さですね。多くのメーカーから販売されていますが、大体は5~8ftクラスが多いです。この中で細かく細分化されますが、何が違うのかを理解する必要があります。
テクニカルなショートロッド
短いロッドですが、5~6ftクラスの長さは、テクニカルな釣りに向いています。キャスト時の正確さやルアーを操作する際に細かく操作できるのが大きな特徴です。そのため、近距離の障害物周りを攻めるのであれば、ロッドは短い方が有利です。極小ジグヘッドなどもテクニカルに扱えます。
広範囲を攻めるロングロッド
長いロッドですが、7~8ftクラスを利用して、遠くへルアーをキャストする事が可能です。オープンなエリアの釣りや、回遊を待つ釣りなどでは、確実に強い味方になります。また、足場の高い堤防では足元までルアーを引きやすく、磯場では沈み瀬などを交わしやすい点もあります。
ロッドティップの違い
最近のライトゲーム用のロッドでは、ロッドティップのみ違った作りになっている場合が多いです。それは、小さな魚を相手にするため、より食い込みを良くしたり、ルアーの操作性を高めたり、色々な観点から組み合わせて作られています。ここも選ぶ際には大切な要素になります。
チューブラーティップ
まずは、ロッドの多くがこのチューブラーティップです。ロッドの芯の部分が空洞になっており、極端な曲がりの違いが生まれないので、ルアーを操作しやすい事と、感度が優れている点が特徴です。もちろん、ロッド自体の強度も強いです。
ソリッドティップ
こちらは空洞がなく、より細く作られているのが特徴です。素材にグラスファイバーを採用し、柔軟性を高めています。極端に柔らかい(曲がる)ティップで、魚に違和感を与える事なくルアーを食い込ませる事が可能です。ただ、ティップが極端に柔らかいので、ルアーの細かな操作はしにくくなります。
仕掛けが変わるロッドパワーの違い
メバリング用ロッドにも、様々なパワーがあります。ウルトラライト、ライト、ミディアムライトというのが代表的です。基本的にはルアーのキャストウエイトで見るのが早いかもしれません。釣り方やキャストするルアーによって、これは選び方が変わってきます。メタルジグやフロートリグを使う場合には、強めのミディアムライトのロッドが良いですし、軽量ジグヘッドならウルトラライトが断然キャストしやすいです。
初めてのベストなメバリングロッドの選び方
初心者が最初のロッドを選ぶ場合、万能な物を探しましょう。まず、必ずメインとなるジグヘッドの操作性の良い物を選びましょう。1~2gをキャストしやすいウルトラライトで、あまり長すぎると操作性が落ちるので、飛距離も考えて6~7ftの間がベストだと言えます。このクラスであれば、小型プラグも十分に扱えるので、幅広い釣りにも対応しやすいです。さらにティップはチューブラーの方が、感度・操作性が高いのでおすすめです。
リールは小型で軽量タックルに
リールですが、最近ではメバルやアジ用のチューニングを施されたモデルも多く販売されています。基本的には小型スピニングリールで、細いラインを必ず使用しますので、スプールは使用ラインが100mほど巻ける浅溝タイプで十分です。
小さな魚ですが侮ることなかれ
メバルは小さな魚ではありますが、時には30cmを超えるサイズも釣れます。さらには、小さくても力強く突っ込み、走り回ります。時にはストラクチャーへ逃げ込むほど。そんな走りをする魚だけに、急な突っ込みでラインが切られないようにドラグ性能は良い物がベストです。メバル・アジ用であれば、ドラグ設定もそれに合わせてあり、細かな調整も可能です。
初めてだからこそハンドル回転の滑らかなモノ
もう一つ、リールの選び方で大切なのが、ハンドルを回転させた時に滑らかな事です。これは、リールの駆動部の振動や遊びが少ないほど、メバルからのシグナルを拾いやすくなります。カタカタ振動があると、確実にアタリが分かりにくくなります。予算内で、なるべく滑らかな駆動をするリールを選びましょう。
ラインの選び方は細く強く見やすいタックルバランスを
現在では、メバリング用のラインも多く販売されています。そのため、好みで様々な使い分けが可能です。それぞれ特徴がありますので、仕掛けの要となるラインの特徴をご紹介します。
ナイロンライン
最も扱いやすいラインで、初心者には一番のおすすめです。比重が水よりも軽く水面に浮きますが、しなやかな素材がより扱いやすいラインになっています。ただ、伸縮性があるため感度は落ちますが、伸びがバラシを軽減する役割にもなります。またカラーが豊富で、視認性の良いカラーを使うと夜間でも釣りに役立ちます。サイズは4lb(1号)前後がおすすめです。
フロロカーボンライン
ナイロンに比べると伸縮性が無く、感度に優れています。さらに耐磨耗性にも優れ、障害物への擦れに非常に強いです。また水と比重が同じくらいで、素材を光が透過する屈折率が水に近く、水に馴染みやすいラインです。ただし、張りが非常に強いため、リールへ馴染みにくく、ライントラブルが増えやすいです。そのため、使うのであれば4ib(1号)以下がおすめです。軽量ジグ単の釣り方に最適です。
PEライン
ルアーの仕掛けでは主流のラインですが、メバリングの様なゲームではトラブルが起きやすいです。伸縮性が無いため感度は素晴らしく、より細いラインが使える点は優秀です。ただし、初心者には結び方が難しい点と、ガイド絡みなどのトラブルが多い点は、夜釣りが増えるとマイナス面が多くなります。擦れに弱いのも欠点ですが、使う場合には0.6号以下がおすすめです。
リーダーをセットする事
PEの仕掛けは、必ずショックリーダーを付ける必要があります。これは、ルアーとの結束強度を上げる、擦れに弱い部分を補う、魚にラインが見えない様にするなど、多くのPEの欠点をカバーしてくれます。また、PEは比重が軽く沈下しにくいので、フロロカーボンリーダーをセットすると軽量ジグヘッドも扱いやすくなります。釣り方によりますが、長さは1mほどです。
初心者が初めて選ぶなら
ラインにも様々な特徴があります。他の釣りでPEに慣れていれば、断然、PEをお勧めします。しかし、慣れていない初めての方には、仕掛け全体のバランスと釣り方に慣れがない事を考えると、ナイロンがおすすめです。使うルアーの選び方や釣り方も気にせず使える事は、初心者にとって非常に大切な事だと言えます。もちろん、フロロカーボンも繊細な釣りをするには最適です。
メバリング用ルアーは様々
メバリングに使うルアーは、本当にバリエーションに富んでいます。ここ数年ではハードプラグでの釣り方が流行っていますし、メバリングでは絶対に外せないワームは主軸になります。初心者の方には、ワームをおすすめしますが、ここでは他のルアーにも触れておきます。
初心者に欠かせないルアー
メバリングのカギとも言えるのが、ワームでしょう。このワームを使う為に、ロッドもリールもラインも、細かくセッティングしたと言えます。基本的には、このルアーだけでゲームは成立します。このバリエーションを持っておく事で、様々な釣り方が可能です。初心者は、まずこのルアーから始める事がおすすめです。
仕掛けの基本•小型ワーム
現在では、メバリング専用ワームはたくさん並んでいます。その中からセレクトすれば、初心者でも間違いはありません。ただし、タイプやカラーも沢山ありますので初心者は頭を悩ますとは思いますが、初めての場合、数タイプ、数カラーは準備しておきたいです。
基本はジグヘッドリグ
ワームはジグヘッドリグ、ジグ単と呼ばれる使い方になります。軽量のジグヘッドと呼ばれる、ハリと重りが一緒になった物を使います。注意ですが、ジグヘッドのウエイトには注意して下さい。重すぎる物は食いが悪くなります。基本は1g前後から3g位まで。飛距離は出ませんが、軽い方が断然、食いがいいのです。初心者の仕掛けや釣り方にもよりますが、徐々に軽いウエイトに慣れましょう。
遠投のきくフロートリグ
届かないエリアにワームを送り込む仕掛けに、フロートリグがあります。エサ釣りの飛ばし浮き同様の物ですが、ロッドを硬めにすれば、この仕掛けも可能です。専用のフロートは多く販売されています。フックは超軽量ジグヘッドか、フックのみと出来る限り軽くするのが基本です。釣り方はタダ巻きと簡単です。
流行りのプラッキング
ここ数年、メバリングでブームの釣り方が、ミノーやトップを使ったプラッキングです。専用の物も多く、ショップでは多数小型のプラグが列び、初めての方でも選びやすくなりました。ただし、メバルの活性に合わせて使い分け出来るよう、数種類は持っておきたいです。
小魚演出のミノー
フローティングとシンキングの使い分けはもちろん、ディープダイバー、シャッドなども有効です。探るレンジ(深さ)で使い分けますが、狙えるのは水面から2~3mが限度だと言えます。準備する際には、この探るレンジを考えて揃える事が大切です。
初めてでも興奮のトッププラグ
メバリングの面白い釣り方が、このトッププラグです。水面に飛び出す姿は小さくても興奮しますが状況によって釣りが成立するしないが、明確に別れます。これも専用の物がたくさん販売されています。ライズ(水面で捕食)している状況なら、このプラグの独断場になる事もあり、一本は持っておきたいルアーです。
フィールドで楽しもう!
初めてのメバリングタックルについて、今回はご紹介してみました。最初のワンセットは、やはりオールマイティーに扱える物が一番です。その中で、使用ルアーを厳選してみて下さい。主軸はジグ単によるワーム、サブとしてプラグという考えがベストでしょう。寒い季節の熱いゲーム、多くの皆さんに楽しんで頂ければ幸いです。